本日最後の授業終了のチャイムが鳴って、先生がいなくなると同時に少し丈が余るカーディガンのそでをもちながらうーっと伸びをする。今日も何事もなく終了っと。
用事があるらしい、バタバタとした仲のいい友だちとバイバイ、と椅子に座ったままあいさつをして辺りを見渡す。
するといつもみたいにバタバタと近づいてくるお兄ちゃん、ことつーくん。今日もはーちゃんたーくんは一緒みたいだ。


「ミオ、今日はオレ用事あるから先帰ってて!」
「ん、リボちゃんに呼ばれてるんだよね。いってらっしゃーい」
「知ってたのかよ」
「つーくんが朝あれだけ騒いでたらねえ。」
「ならわかると思うけど、気をつけろよー?最近また物騒だし、ああもう誘拐とかされたら」
「にひ、しないしない。だーれーが、ぼくを狙うんだか。それにいろいろ持たされてるし。使えるわけでもないけど」
「ああでも!」
「もー、つーくんは相変わらず心配症なんだからー」

まだ言ってくるうるさいお兄ちゃんをはーちゃんとたーくんが待ってるよ、と言って送り出す。
ぼくでもわかるシスコンぶりにちょっと呆れがはいるけど、まあぼくも同じくらいブラコンだろうから苦笑ししまう。だってぼくたちは双子だもんね。

ぼくは多分、パソコンとかでハッキングとか機械工学が得意なだけの、まったくの一般人だけど、つーくんはボンゴレとかいうマフィアの次のボスらしい。だから妹のぼくも危ないらしくて、なんと、拳銃、をもたされている。反動も少ないように改良されてるから、いざとなったらこれをうちまくれ、とつーくんの家庭教師さまことリボちゃんには言われてるけど、ぶっちゃけ愛用のスパナとかのほうが使えるのは秘密だ。

お巡りさんにつかまったときにどうしよう!悪いことはしてるけど、できないや!とドキドキしながら毎日をおくるほど。
まあ、こんなの一生使うつもりもないし、捕まるようなへまもしないんだろうなー、と思います!(あれ、作文??)

なにはともあれ、今日の放課後はひとりらしい。久しぶりのひとり。つーくんたちとわいわいするのだって好きだけど、ひとりでなにかを作ったり直したりするのも、好き。こんなゆっくりできるときはあんまりないから気が楽。ああそうだいつもの空き地にいい部品が転がっていないかしら。




「たーたらた、たたたたたらんらんるー!」


うらのうらの誰もいない空き地。
意外とみんな気づかないのか、本当に穴場。歌は好きだけど、合唱は苦手。だからこうして誰もいないところで鼻歌まじりで作業するのが好き。自分で気ままに生きるのも、きっと好き。だけど実際ひとりだったら生きてけないって知っている。



(み、つけた)




「らんらんるーらんらんるー」


(この異なる世界の、ちからをもったにんげん)


「らんら……?…………だーれ?」


だれか、いる?
(でもだれもいない)
気のせい?
でも超直感が訴えてくる。
(ああいる!)


(退屈しているなら、くるといいよ。楽しいことがいっぱいだから!)


「へ…………?」



響いた声にまばたきをすれば、そこは空き地なんかではなく、広大な草原。
思わず頬をつねってしまう。


「あーボンゴレ式ドッキリ?それとも白昼夢?……あ、ほっぺつねっても意味ないんだっけ」


痛いと感じるのは脳だから夢のなかでも、痛いものは痛いらしい。
けど、直感が訴えるのはたしかな現実と、危険信号。





(きっとおもしろいことになるだろう!)(なんてことない、ただの直感さ)













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