▼ 07
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「いたいぃ…」
夕方。目が覚めた僕を待っていたのは、鈍い腰の痛みだった。いや、腰だけじゃなくて全身痛い。
「ははっ、若いじゃないか筋肉痛がその日のうちにくるなんて」
「笑い事じゃないんですよ…」
亮一さんは楽しそうに微笑み、苦しむ僕の横で本を読んでいる。なんでこの人こんなにピンピンしてるの…。
「泊まっていけばいい。動くの辛いだろ」
「…いや、帰ってちゃんと凛にお礼言わなきゃ…」
「百瀬君ならさっき君が寝てるときに来たぞ」
「えっ!?」
「君が起きたらこれを、と」
コンビニの袋を渡された。
「…」
栄養ドリンク。僕の好きな菓子パン。水。
…と、コンドームの箱。
「凛のばか…」
ご丁寧に「今夜は仲良くしてね(ハート)」と書かれた付箋が貼り付けてあった。…恥ずかしすぎる。
横から袋の中を覗き込んでいた亮一さんが、上機嫌で言う。
「さすが百瀬君だな。よく分かってる」
「…もうしませんからね」
「え…?」
え…?じゃないですよもう!
さっきあんなにしたじゃないですか!
「身体が持ちません。寝かせてください」
「さっき何回でも好きなだけどうぞって言った!」
「う…でももう本当に動けないから…すみません」
「…じゃあ俺が勝手に動くから、律君は寝てればいい」
「やですよ!」
「するったらするんだ!」
なんだこの駄々っ子みたいなイケメンは。どんだけ絶倫なの。
「ちゃんと律君のはフェラして勃たせるし、俺の穴はさっきので十分広がってるからほぐす必要もないし…なっ!何も心配することはないだろ?」
「そういう問題ではないです」
「じゃあどういう問題なんだ」
「なんでそんな元気なんですか…」
ぼふっとベッドに突っ伏した。そのすぐ後に亮一さんも布団に潜り込んでくる。二人ともまだ裸のままだから、肌が直接触れ合ってドキドキした。
「僕はこうやって二人でくっついてるだけで満足なんですけど」
「それもいいが、律君が裸で俺のベッドに寝てると思うと興奮が抑えられない。ムラムラする」
「もうやだこの人…」
「あっ」
「え」
何かを思い出したかのように大きな声をあげる彼。な、なに…?どうかした…?
「勃った」
「!!」
物凄く嫌な予感がする。あわあわと逃げ出そうとする僕の足が掴まれた。布団の中に引きずり戻される。
「はぁはぁ、律君、しよう。な?気持ちいいことしかしないから、俺のここに入れるだけだから」
腰の上にまたがられては動けない。彼のお尻から先ほどの情事の証である白濁が溢れてきて、こぷりと音を立てた。えろい…じゃなくて!!
「やっ、あ、だめですよう!もう精液出ませんからぁ…っ」
「空イキは気持ちいいらしいぞ」
「ひっ、やぁぁっ、だめ、りょーいちさん!」
「はぁ…ッ、ん、ん、律君、かわい…」
抵抗虚しく、僕のペニスはあっという間に彼の中へ飲み込まれてしまう。
あれだけ交わったというのに、依然として程よく締め付けてくれる腸内に、ぶるりと腰が震えた。
「あぁ、ん、ゴム…使わないとな…せっかくくれたんだし…っ」
そう言いつつ、彼は何故か自分の勃起した性器にゴムを装着した。全くもって意味が分からない。
「もっ、馬鹿じゃないんですか…つけるのなら僕のにつけてくださいよ…」
「い、やだっ…律君の精液は、俺のだから…ん、ふぁ」
「うぁっ、ん、く…っひ、もぉやだぁ…出ないぃ…」
すでに半泣きの僕。亮一さんは頬を赤らめ、腰を揺すりながらこちらに手を伸ばしてきた。
「あぁぁっん!だめぇ!」
乳首をつねられ、全身にびりびりとした熱が走る。
「ピンクでちっちゃくて…君は乳首まで可愛いな…」
「あっ、ふうぅ、んっんっ、あんッ!りょーいちさぁん…っ、だめぇ、ほんとに、やぁ!」
涙目で彼を見上げると、きゅんきゅん後ろで締め付けられた。ひぐっと息を詰める。亮一さんの顔に情欲の色が増した。
「あぁ可愛い…律君、大好きだぞ…」
「ぼ、僕も好きです…あっ、あぁっん!は、ぁぁ、けど、やぁ、やだぁぁっ」
「んふふ、はぁ、やめてあげない…っ」
薄れゆく意識の中で、僕は思った。
こ、このままじゃやり殺される…と。
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