僕の秘密と君の罠 | ナノ


▼ 01

「はい、百瀬に決定ー」
「うう…」

ぺたりと机に突っ伏す僕。騒ぐ友人たち。

どうしていつもこんなときばかり貧乏くじを引かされるんだ。いや元からくじ運があるほうではないが。

ゼミの飲み会。悪酔いした他のメンバーが強引に始めたくじ引きで、僕は見事にその罰ゲームの対象に選ばれてしまったのである。

「じゃあ罰ゲームな!」

ごそごそと彼が取り出したものを見て、僕は目を丸くした。

「…や、やだ。他の罰ゲームにしようよ」
「負けた奴が何言ってんだ」

だって。だってだってだって。

…ナース服なんか、着たくない。

「男がこんなの着ても気持ち悪いだけだから。皆もそんなの見たくないでしょ?ね?やめよう?」

いかにもパーティー用のコスプレです、といった包装のそれ。きっと近くの雑貨屋ででも買ったんだろう。

「いやいや、これ2000円もしたんだぜ。無駄にするなよ」

そんなことにお金を使うんじゃない。もっと有意義なことに使いなさい。

どうして最近はこんなに災難ばかり降りかかってくるんだ。僕はただ平穏に過ごしたいだけなのに。

「まぁいいからいいから。ほら、トイレで着替えて来いよ」

女装なんて、大っ嫌いだ。



「う、んん…」

あれ、僕、どうしたんだっけ…?

ぼんやりとまだ正常に機能しない頭。霞んだ視界の中で昨晩の記憶を引きずり出そうとする。

確か、くじ引きで負けて女装しろって言われて。それからもう自棄になってお酒を馬鹿みたいに飲んだ気が…。

ずきずきと頭が痛む。身体もなんだかだるい。

っていうかここはどこ。ふかふかしてあったかくて、とても寝心地が良い。

段々と覚醒してきた僕は、とりあえず起き上がるために体勢を変えようとした。

「んっ」

…え?誰?隣に誰か眠っている。

「あ…、律くん、起きたのか」

おはよう、と爽やかに笑うその顔には見覚えがあった。

「りょ、亮一さんなんでここに…」
「なんでって、ここは俺の家だけど」
「いやそういうことを言ってるんじゃなくてですね!」
「あっ」
「えっ」

彼の口からなんだかいやらしい悲鳴が上がる。そして気が付いた。…僕のそれが、亮一さんのお尻の穴に、しっかりと挿入されているのを。

「なっ、なななななんで、えっ?え!?」
「ふふ」

いや笑ってる場合じゃないです。

「あぁぁぁ!?これ…!?」

自分の姿を確認してさらに叫び声をあげる。何故なら僕は、飲み会の罰ゲームで着せられたナース服を着たままだったからだ。

突っ込みどころが多すぎてもう処理しきれない。頭がパンクしそうだ。

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