▼ 07
気持ちいい。たまらない。早くここにその精を注いでほしいと言わんばかりに、内壁が収縮する。先程達したばかりだというのに、身体は貪欲にさらに先の快感を貪ろうと必死だ。
ずちゅっずちゅっぐちっぐちっ
「んん…っんっふ、あっ、あっや、あ」
「は…っ、あ、やば、い…っ」
「んぁ…ッ!は、あっ、だめ、またイく…あっあっあぁぁッ」
「俺も、もってかれそ…」
張り出した部分でごりごりといいポイントを突かれ、泣きじゃくりながらもっとと懇願した。
「そこ、そこぉっ、もっとして、もっと擦って」
「ここ…っだろ?」
「あぁぁ…ッあ、いく、いくぅっ!いく、いくっ!」
「っ、ん、いいよ。俺ももうイくから…ふっ、んん」
「出して、俺の中、濡らして、んっあ、いっぱい…っひぁぁ!」
「えっろ…」
ぺろり、とひふみが自身の唇を舐めるのが見える。その直後一層激しさを増した突き上げに、俺はもう限界だった。ガクガクと腰が震え、爪先に力が入る。
「あぁっあっあっ、ひふみぃっ、もう、もうぅ…っ」
「俺も…っもう」
固く握り合っていた手が離されてしまった。
「あっやだ、やだ…ッ、離さんで、やぁぁ!」
「離さんって…」
嫌だ嫌だと首を振る俺を、ひふみは少し笑って抱きしめる。汗で濡れた肌が触れ合い、互いの体温が伝わってきた。
俺もぎゅううっと強く強く抱きしめ返す。この瞬間が好きだ。一生離さないでほしい。一生離したくない。そんな思いでいっぱいになる。
「くっ…は、瑞貴、痛いって…」
「だってぇ、だって、ひふみ、ひふみっ」
「そんなに…っ呼ばなくても、ちゃんと聞こえてる」
瑞貴って、俺の名前をそんな風に呼んでくれるのはお前だけだから。他の誰に呼ばれるのとも違う。お前に呼ばれるからこんなにも嬉しい。呼ばれるたび、自分の名前がもっともっと好きになる。
「ひふみっ、ひふみ…ッ、んんあぁぁぁ…!」
「っ、くぁ…瑞貴…!!」
だからもっと、俺の名前を呼んで。
*
「…っ」
…とまぁ、先日のこんなやり取りをふと思い出し、ぐしゃぐしゃと髪をかき乱す。
あれは…うん。うん、良かった。すごかった。すげぇ気持ち良かった。
あんなに甘やかされたのはもしかすると初めてかもしれない。結局あの後ひふみも次の日が休みだということが分かり、もう一回したし。
もういい分かったからと訴えたにも関わらず、ただひたすら好きだの可愛いだの愛してるだのと囁かれ、俺はもうへろへろだった。死ぬかと思った。
でも。
「…」
…も、もう一回やってくんないかな、ああいうの。
「いや…いやいやいや…」
やっぱり駄目だ。またあんなことされたら、今度こそ死ぬ。心臓麻痺とかで死ぬ。だってあいつ普段あんなに優しくねーし。心の準備ってものをしておかないと…その、ドキドキしすぎて死ぬ。
「…俺きっも…」
何がドキドキだ。大の男が甘い言葉を囁かれてときめいているだなんて、気持ち悪いにも程がある。大体何年付き合ってると思ってんだよ。セックスだって数えきれない程してるっつーの。慣れろよいい加減。
「萩ちゃん何で顔赤いの?」
「へっ!?」
ふと見慣れた女生徒に顔を覗き込まれ、思わず間の抜けた声が出てしまった。しまった。ここは学校だった。
「エロいことでも考えてたんでしょ」
「か…考えるかバカっ!」
「その反応は図星だ」
「萩ちゃんって本当に彼女いなさそう」
「…」
何て失礼なことを言うガキどもだ。
「…お、俺だってなぁ、恋人くらい…」
「えっうそ!?いるの!?荻ちゃんなのに!?」
「どういう意味だ!」
「えー…絶対ないと思ってたのに…だって女の人の影とか全然ないし」
そりゃ女じゃないしな。そう言いかけた自分を慌てて諌める。
「いいから早く教室戻れ。もう掃除終わっただろ」
「えー…じゃあ一個!一個だけ答えて!」
「なんだよ」
「荻ちゃんはその人のことどんくらい好き?」
全く、この年頃の女の子は恋愛話になるとこうだ。さっぱり分からん。どうせなら芸能人の話とか、流行のドラマの話とかの方が面白いんじゃねぇの。高校生なんて。
「…答えてほしかったら、俺のことは先生と呼びなさい」
――まぁ、呼んだって答えてなんかやらないけどな。
end.
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