蒸し暑い蝉時雨の中、それでも柔らかい白に包まれて二人は求め合う事を止めない。

好きだよ愛してる世界で何より君が大切だ そんな言葉は交わされず、ただ二人の間にある空間を見つけては殺すようにして。

頬を撫でる。
肌を濡らす。
椿の唇を舐める。

後は何だ。何をすれば、この想いが伝わる。この、深くて甘くてそれでいて目も当てられない程に汚く穢れた想いは、どうすれば吐き出されるんだ。

ぽたりぽたりと互いの汗を互いの身体に垂らして、どうしようもなく暑い筈なのに肌を重ねている理由はその答えを探しているから。
どんな恥態を晒す事になっても、答えが見つかるのであれば何も躊躇う事はない。

ああ、知っているよ。
何もかもやり尽くしてしまったという事。これ以上為す術が無いという事。その規定値をとうに超してしまったという事。
でも、それじゃあ、超してしまった二人はどうすれば良い。
その先を、考えていなかったのだろう。

もう何も出ないそれを扱いて、ああ似ているなとぼんやり考えた。

なあ教えてくれよ。
その真っ赤な椿をこじ開けて中を探り合って、そこに答えがあると信じて。
それでも正解が欲しかった

 
2010/08/28

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