雨上がりの蒼穹
16話:終
やっと分かった。
呼び声が聞こえたと、彼が言ったのは。
確かに自分の声だったのだろう。
そう、いつだって心はナルトを求め、呼んでいる。
音にはしない気持ちと一緒に、心の中で繰り返し。
聞こえるはずのないその声を、けれど彼は受け止めていてくれたのだ。
きっと気付かなかっただけで、いつでも自分の声は彼に届いていたのだろう。
今日のように。
「……オレの声は、ちゃんとお前に届いてたんだな」
「おう!オレってば、心がサスケとつながってっから!なんでもかんでも届いてるってばよ!」
真っ直ぐと自分に向けられた、潔いほど一途な気持ちが嬉しい。
胸から溢れそうな想いにサスケは綺麗に破顔して、愛しい温もりを抱き締めた。
「愛してる……」
「へへ、オレもだってばよ!」
漆黒の瞳に、どこまでも澄んだ深い蒼が映り込む。
頭上には、雨上がりの空。
腕の中には、自分だけの蒼穹が、嬉しそうに笑っていた。
《終わり》
2012.05.29end
後書き
サスケの声(想い)は、いつでもナルトに届いてるのだ!!
もちろん本当に声が聞こえた訳じゃないよ。
サスケはイタチ兄ちゃんを死なせた事を後悔してるんだけど、ナルトのおかげでその痛みを乗り越えて、イタチ兄ちゃんが託した想いを、しっかりと受け継いでいこうと思った……という所を書きたかったのでした。
余談だけど、顔岩と呼ぶか火影岩と呼ぶか悩んじゃった。「兵の書 ナルトオフィシャルファンBOOK-1」の木ノ葉の里中心部MAPに「火影岩」って書いてあるんだ。でもマンガの中でナルトが「顔岩」と呼んでるので、 結局、顔岩と呼ぶ事にしました。
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