略奪をお望みですか?
『鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし』(三橋鷹女)
「梓紗さんは、和菓子はお好きですか?」
「は、はい。お茶菓子などが特に」
「奇遇ですね、私もです。よろしければ、今度私の家に来てください。茶室があるので、二人きりでゆっくりお話ししましょう」
「………一つ、言うてもええか?」
バンッ!!と店中に響く大きさで、テーブルが強く叩かれる。その強さに、店にいた客達はびくりと肩を震わせた。
「宗像、な〜んでお前がここに居るんや?」
「愚問ですね。梓紗さんと話をするためです」
「この状況見て分かるやろ?今デート中やねん。部外者は帰れや」
「デート?はて…一体どなたがです?」
「俺と梓紗や!お前室長やろ!?仕事せえや!」
「今日は非番なんです。ですので、梓紗さんとお話をと」
「帰れ!!」
油断も隙もなく、当然のように梓紗の手を握った宗像の手を草薙が叩く。呆れたように軽く肩をすくめると、宗像は溜息を吐いた。
「独占欲の激しい男性は、すぐに愛想を尽かされると聞きますよ」
「余計なお世話や」
「ふ、二人共落ち着いて…他のお客さんにも迷惑かかりますから!」
「せや。宗像は帰りぃ。俺と梓紗のデート邪魔すんなや」
「おやおや…。かなり、梓紗さんを溺愛されているようで」
「当たり前や、愛しとるからな」
「い、出雲!公共の場だよ!?」
梓紗を抱き締めながら言い放つ草薙に、梓紗が顔を真っ赤にしながらその胸板を軽く叩いた。
「なかなか手強い。仕方ありません、最終手段です」
「何や」
「『鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし』とあるように――略奪愛を狙ってみましょうか」
『!?』
「りゃ、略奪愛!?」
「はい。ですので梓紗さん…」
草薙に抱き締められた梓紗の腕を強引に引き、そっと手首を掴むと、細い指先に宗像は唇を触れさせた。
「覚悟しておいてください」
欲するままに、奪ってみせよう
(調子のんなや!!放さんかい宗像!!)
(梓紗さん?顔が真っ赤ですよ?)
(聞けや!梓紗に触れるんやない!)
更新:12/12/27
はい、ぐだぐだ不完全燃焼。草薙さんが似非すぎる…………。そしてヒロイン全然しゃべってない。そしてシリアスにならなかったあああ!
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