小説 | ナノ


執事服には裏がある。


世の中には、四種類の人間が存在する。通常・特例・異常・過負荷。
そしてその四種類の中の内に秘められる思考としてある二種類の思考が存在する。
俗に言う、サディスト・マゾヒストってヤツだ。そりゃ世間にはたぁぁぁくさんのサディストとマゾヒストが居るだろうよ。
けど、それでも俺は自信を持って言ってやれる。この世界で、誰よりもサディストいや、ドサディストなのは…


「どうしたんですか、梓紗さん」


間違いなくっっ!!こいつだ!!!


「てっめぇ…蝶ヶ崎!」

「なんですか、しっかりとした日本語で話してくれないと理解出来ませんよ」


本来疑問形に値する言葉に、全くもって疑問を入れようとしないこの男…!!蝶ヶ崎蛾々丸!!こいつは…こいつは…
 

「いつまでも廊下に転がっていると、ゴミみたいですよ。梓紗さん」

「起き上がれてたら苦労してねぇんだよ!!見て分かんねぇのか!?」


確かに俺は今廊下に打っ倒れてる状態だよ。飛沫と喧嘩したんだよ。
あいつ本気で蹴りやがって、おかげで身体中ボロボロだってんだ。それを、それを!!


「ですから、“どうか愚かな私を助けて下さいご主人様”と頼んで下されば手をお貸しすると言っているじゃないですか」

「このドサディスト野郎!!死ね!!」


執事服にモノクルっつぅ如何にも紳士って格好したこいつは、根っからのドS…ドサディストだ!!


「くぅっ…」

「起き上がらないで下さい」

「ぐえぇっ!!」


折角の痛みが引いてきたから起き上がろうとしたのに、蝶ヶ崎の野郎は寄りにも寄って折れてるかもしれない背中を本気で踏みつけやがった。こんな奴、紳士じゃねぇ!


「てっっっ、めぇ!!!ふっざけんじゃねぇぇぞ!!」

「女性がそんな言葉遣いをするものではありませんよ。梓紗さん」

「エセ紳士が何言ってやがる!!ブッ殺してやる!!」

「それはいいですね。既にボロボロな貴方の身体のどこに刺激を加えれば、貴方の口から叫び声が上がるのでしょうか。実験してみましょう」

「っっ!こ、の…」


「ドサディスト野郎ぉぉぉ!!!」


!!
(ぶっ……ブッ、ころ、(次は腕を折りますか)てめぇいい加減にしろ!!)



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