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笑顔の絆


「ゆ、弓親!待って!」

ドテッ

自分を呼び掛ける声と同時に、少し鈍い音が聞こえた。振り返ると、案の定、彼女は転んでいた。

「イタタ…」

「はぁ、どうして君は、何もない所で転ぶのさ」

「うっ…ごめんなさい」

ゆっくりと立たせ、死覇装に付いた砂を掃う。

「まったく、しっかりしなよ」

「うぅ〜」

「本当に十一番隊?」

グサッ

効果音が聞こえて来そうな位の勢いで縮こまってしまった彼女は、碓水梓紗。弓親の幼馴染だ。

「行くよ」

「!ま、待って!!」

自分の後ろを、ちょこちょこと連いてくる。まるで子犬だ。

ドテッ

「きゃ!」

「はぁー」

また転ぶ。本当にドジだ。

「ほら」

「ご、ごめんなさい弓親」

梓紗は美しいよりも、どちらかと言えば可愛いだ。現に、男性からも女性からも人気がある。オマケに。

ドテ――ン!

「イタっ!!」

このドジっぷりだ。人気が無い方がおかしい。

「梓紗…君、ワザとやってる?」

「やってない!転んじゃうんだもん!!」

「わかったよ、ゴメン。早くおいで」

「うん!」

パァッと太陽みたいに笑う。この笑顔が、僕は好きだ。この笑顔が見たいから、君から離れられないんだよね。



(弓親――!)(その笑顔を消さないで)

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