長編 | ナノ

 お兄さんと一緒

「かに、かに、タラバガニ〜♪」

ん〜、蟹は思ってた感じと違ってたなぁ。髪にキスなんて今までの彼氏にされた事なんてないわ!
案外、キザなのかも?
でも、一番話しやすいかも!
けど、基本ここの人達 顔がいいからちょっとの事でドキドキしてしまうわ。
次は、ドキドキしたくないかも…心臓がいつか止まってしまうわっ!

「次は、双子座だよね…ここだよね?んー?何だか人がいなさそう…お出かけですか〜??」

と聞いても何も反応無し。まぁ、レレレノレ〜?とかバカ○ン風な返事が返ってきても反応に困るけどさ!

「ん??そこにおられるのはアフロディーテ様か?」
「ひゃあっ!?」

馬鹿な事考えてたら声かけられてビックリしてもうたぁっ!!
なんというマヌケ声!恥ずかしいぞーっ!

「すまん!驚かせてしまったか!」
「いえ、勝手に驚いたのは私なんでお気になさらずー。……ってか、デカっ!」

喋りながら振り向いてみるとすんごいデカイ方が立っておられました!
うぉー!何か北斗の○にでてきそうだー!!

「ははは!まぁ、デカイかもしれんなっ!ところでアフロディーテ様は此処で何をされてるのか?」
「えっ?あぁ!あたしは皆に挨拶をと思いまして…」
「それで、此処へ…この宮の主は出掛けているようですな。」
「そっか…。じゃ、次の宮に行こうかなー」
「次は、俺の宮。牡牛座のアルデバラン。貴方は俺が命にかえても守ります。」

そう言って大きい人…アルデバランは跪いた

「わわっ!そんな命まで!!しかも、そんな跪かないで!」
「いえ、女神である貴方にはこうするのが礼儀。」
「いやー!マジで畏られるの嫌なんす!!どうか気軽に話してくださいよ!!」

なんか、ムッキムッキのデカイ人にこんな事されたら焦るわ!!それに、多分だいぶあたしより年上ぽいし!思わずあたしも跪いてしまう

「!?何故、貴方まで…ふむ…変わった女神であられるな。まぁ、アテナ様も威張るような方ではないが…」
「あー、だってあたし異世界から来たから。もう、全くここの文化や習わしとか礼儀やらが分からないんすよ!」
「ふむ…、異世界。まぁ、慣れんのならやめよう。」
「ありがとう!!にしても本当デカイなぁ〜!筋肉も凄そう。」

黄金の鎧の上から触ってみる

「日々、鍛えているからな。」

そうニカッと笑うアルデバラン。
なんか、ホッとする。
お兄さんのような、お父さんのような…

「何か、アルデバランと居るとホッとする〜。」
「はははは!そうか??それは嬉しい。」
「わっ!?」

アルデバランに頭をクシャクシャと撫でられた。
大きな手が心地よい
あー、ずっと撫でられたい!猫の気持ちがわかったよ!!

「アルデバラン様ー!!」

アルデバランの撫でる手が止まる
名残りおしいなぁと思いながら声のする方を見ると
あたしと同じ歳ぐらいの男の子がこちらに向かって来てた

「ん?テネオか?どうした?」

ほほう。テネオくんという名前か!

「はい!もう、修行の時間ですので」
「おぉ!そうか。もう、そんな時間か。ではなアフロディーテよ。」

あらー、修行かぁなら仕方がないよな。引き止められない…
ってか、ん?アフロディーテ?

「え?あっ、あたしか!?名前、名で呼んでよ!」

誰のことかわからなかったわ。
まだ、慣れないなアフロディーテって言われてもさぁ。

「ああ、承知した。またな名よ。」
「うん!」
「あれ?その女の子は…」
「ああ、この方は美の女神アフロディーテ様だ。失礼のないようにな。」
「え!?女神様?!す、すみません!女の子なんて失礼な!」

テネオ?くんが跪いてしまった

「あわわ!やめてー!そういうの慣れてないから!!普通に!普通に!」
「え?でも…」
「テネオ、名の言うとおりにしてあげるんだ。」
「はぁ、分かりました。」
「ありがとう!」
「!?ええと!?はい///」

ん?なんか顔が赤いぞテネオくん

「どしたの?顔赤いよ?」
「いや!?そ、そんな事は…!?えぇ?!」

めっちゃ慌てるテネオカワユイ!

「はは!テネオよ、名の美貌にヤられたみたいだな!」
「ア、アルデバラン様っ!!」

真っ赤になってアルデバランに抗議をしてるテネオ
なんか、ほのぼのする…アルデバランのテネオを見る目が優しい
あー、和む!いいなぁ。あたしもあんな兄ちゃんほしい…
命にかえても守るとか格好良いよね!頼もしいよね!
ってか、兄貴 セクハラ射手座と蠍からあたしを守ってくださいよ!
あー、思い出しちゃったよ…
せっかく和んでたのに…

「どうした?名。遠い目をして」
「へっ!?あぁ!ちょっとね!!」
「何も、なければいいが…
何かあれば遠慮せず言うのだぞ?」
「うん!」

ああ!兄貴 男前!頼もしいよぉ!!

「ところで、名よ。どうだ?一緒に修行場に行くか?多分、山羊座の黄金聖闘士がいると思うが。」
「え?そうなの?じゃ、行こうかな!修行場も気になるし!」
「何だ?名も修行したいのか?」
「んー。そうだね〜それもいいかなぁ。強くなったら自分の身を守れるよね…」

セクハラ野郎達から…

「まあ、何かあれば俺が守るが。そうだな、別に強くなるのは悪いことではないな。」
「だよね!!じゃ、あたし修行しようかな!アルデバラン鍛えてくれる?」
「ああ、名の為なら喜んで。では、行くか!」
「うん!ありがとう!アルデバラン!」
「うむ。」

そう言ってアルデバランは優しく微笑みながら頭を撫でてくれた



ーー

俺の前を、楽しそうに話しながら歩く弟子と女神
歳は同じ頃か??
不思議な女神よ。なんと気さくなことか…
どうやらテネオは名に惚れたようだ
聖闘士といえど恋をすることは悪い事ではない。守りたいと思う者ができることは素晴らしい事だ。
こういう穏やかな時間を俺は守りたいと思う
若い二人の次代を…


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