あなたは6RTされたら「なぁ…俺の言葉を覚えているか?あれは…本心だぞ?」の台詞を使って承太郎を描(書)きましょう。
6RTしていただいたので書きました!
承太郎はああ見えて、よく喋る。
相撲の話とか、学校のこととか。友人のこととか。彼が「うっとおしい女は嫌いだ」というのは実は彼自身が鬱陶しい奴だからなんじゃあないか、なんて思うこともある。
「ななこ」
紫煙を燻らしている彼は、割と静かだ。
ふぅ、と吐き出された煙に眉を顰めると、承太郎はわざと私の顔に向けて煙を吹きかける。
「やめてよ承太郎。けむい。」
「いい加減に慣れろよ。…この先もずっと隣にいるんだろうが」
そう言うとまた彼はタバコを咥えた。
え、今の爆弾発言じゃあない?と驚いて彼を見れば、素知らぬ顔でまた煙を吐き出した。
「冗談はやめてよね。」
揶揄われたに違いない、と私は平静を装って視線を落とす。うるさい心臓も熱い頬も気のせいだ、と言い聞かせて。
「やれやれだぜ。」
承太郎はいつもの台詞を煙と共に吐き出し、それ以上なにも言わなかったから、きっと、冗談だったのだろう。
*****
そして今日もまた、承太郎は私の隣でタバコを吸っている。懐くというにはあまりに猛獣なこの男は、なにを思って私の側にいるのだろうか。
「…なぁ、俺の言葉を覚えているか」
「ん?どうしたの急に。」
彼を見上げながら答えると、承太郎はこの間と同じように私の顔に煙を吹き掛けた。あの心臓に悪い冗談のことを言っているのだろうか。
「ありゃあ本心だ」
「え、」
「ごまかしちまったことを、後悔してる」
心臓がまた、ドキドキうるさい。
揶揄われたに違いない、今だって悪い冗談なんじゃあないか。そう何度繰り返しても、承太郎の視線は私を離さない。
「冗談…」
「冗談じゃあねーぜ。」
承太郎はタバコを落とし、爪先で踏ん付けた。私も落ちるタバコと共に視線を下げる。タバコを踏んだ爪先が、一歩、私に近付いた。
「…承太ろ、」
「俺の側にいろ。ななこ」
言葉の意味を理解するより先に、息が止まる。それが唇を押し付けられたせいだとわかったのは、苦いタバコの香りが唇を割り入ってきてから。
「…ん、ッ…!?」
離れていく唇をまじまじと見つめる。早く答えろとでも言いたげな視線が刺さって痛い。
「……承太郎…」
「…答えは」
肯定以外の選択肢なんてないことを、きっと二人とも知っているのに。
承太郎は意地悪だ。
20170330
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bkm