「おじゃまします。」
流石に3度目ともなると、あまり遠慮なく玄関をくぐれる。俺はななこさんの手を引っ張って部屋に入った。
「あの、仗助くん…」
先程からの怒涛の展開についていくのがやっとといった様子のななこさんは、やっぱり露伴が気になっているようだった。
この後に及んで露伴の心配とか、この人はどれだけお人好しなのか…と思ったが、スタンドを使われていたと知らなければまぁ仕方ないことかとも思う。
「後で説明しますから。」
スタンドなんて荒唐無稽な話を信じてもらえるかは疑問だけど、きちんと話をしないと彼女はまた露伴のところに行きかねない。
あの厄介なスタンドに掛かれば、彼女を思い通りにすることなど造作もないというのに。
「うん。…どういうことなの?」
余程気になっているのだろう。食い入るように見つめてくる。ななこさんを見つめ返せば、少し痩せたような気がする。
「その前に…充電させてください。」
座った膝の上にななこさんを乗せて、ぎゅっと抱き締める。
「…恥ずかしいよ…」
「誰も見てないっスよ。…ねぇななこさん、ごはん食べてます?」
なんだか一回り小さくなったような気がする。ずっと合わなかったら小さくなって消えてしまうんじゃないかこの人は。
「なんでもわかっちゃうんだね…」
そう言って苦笑する。なんでも残業で忙しかったのと俺に会えないので食欲がなかったらしい。
「…食べないとダメっスよ?」
「…ん…一人だとあんまり食べたくなくて…」
「じゃあ、俺と一緒に食べましょ?」
「ハンバーグ、作る約束だったもんね。」
膝から降りようとするので、抱き締めて阻止する。せっかく捕まえたんだから、まだ離したくない。
「その前に、頑張った仗助くんにご褒美ください。」
ねだるように見つめると、ななこさんは可愛らしく笑った。
「いいよ。…なにが欲しい?」
「…ななこさんが、欲しいです。」
露伴のことなんて忘れて、俺のものになって。と言いたかったけど、それじゃあまるで露伴に負けているようで癪だった。
ななこさんは頬を赤らめて俯くと、蚊の鳴くような声で了承の返事をくれた。
*****
「…っ、じょ…すけくん…ッ…」
「…気持ちいい?…ちゃんと言ってくんなきゃわかんないっスよ…」
くちゅくちゅと卑猥な水音が響く。最初は指1本がやっとだったのに、もう3本も飲み込んでいる。
「…んッ、気持ち…い…」
腰を揺らめかせながらぎゅうっと抱き着いてくるななこさんは、グレートに可愛い。
「…挿れてもいいっスか…」
「…っ、ん…」
指を抜いて己をあてがうと、ななこさんの身体が強張る。身構えてしまうようなことを、露伴にはされていたのだろうか。
「…怖い?」
宥めるようにキスを落とせば、先程よりきつく抱き着かれる。
「…っだいじょーぶ…」
自分に言い聞かせるようにななこさんはそう答えると、口付けを返してくれた。
何度もキスをしながら、少しずつ腰を進めていく。
「…ッ、痛く…ないっスか…力抜いて…」
「…ん…っあ…、仗助く…」
慣らしてはいるが、かなりキツい。
肉壁を割り開く感触に吐息が漏れる。
「…ななこさん…好きです…」
耳許でそっと囁くと、返事をするようにきゅうっと締め付けられた。
「あ、やッん…や…仗助くんッ…」
まだ動いてもいないのに、びくびくと身体を震わせて喘ぐななこさん。
必死に名前を呼ぶ姿に、己の雄が張り詰める。
「…ななこさん、可愛い…そんなに気持ちいい?」
「やっ、おっき…い、きもちい…ッあ…」
ゆるやかに抽送を始めれば、面白いように声を上げる。初めて目にする痴態に、そう長くは持ちそうにない。
「…好きっス。」
「…あっ、あっ、や、…仗助くっ、じょ、すけく…んっ、」
突き上げる度に名前を呼ばれ、しがみつかれる。好きだと言うたびにびくりと反応する身体が愛しくて、最奥に注ぎ込むべく腰を振った。
「やぁ、も…だめぇ…ッあぁぁっ…!」
「…ッく…ななこさ…んッ…!」
奥に擦り付けるように腰を押し付け、ぎゅうぎゅうと締め付ける内壁に搾り取られるように吐精した。
「…っ…ななこさん…大丈夫っスか…?」
くたりと力の抜けた身体をそっと抱き締める。硬度を失った己を引き抜こうとすると、待って、と制止される。
「…まだ、抜かないで…」
「そんなに、ヨかったですか…?」
自分はこの上なく気持ちよかったけれど、ちゃんとななこさんを気持ち良くしてあげられただろうか。
「…うん、…こんなに、気持ちいいんだね…」
そう言われてホッとする。
身体はまだ繋がったままで、なんだか少し恥ずかしい。
「…気持ち良かったなら、嬉しいっス。」
「すごくあったかくて、幸せで気持ち良かった。」
「…ななこさん、めちゃくちゃ可愛かったっス。」
「…はずかしいよ…。」
逃げるように身体を捩るものだから、挿入っていたものが擦られて思わず腰を引いた。
「…ッ…」
「ひゃあんっ!」
思わず引き抜いてしまうとななこさんにも不意打ちの刺激だったのか、可愛らしい声を上げて、それからすごく恥ずかしそうに抱きついてきた。
「かわいー声っスね。…俺、また勃っちゃいそーっス。」
耳許でそう囁くと、真っ赤な顔で殺し文句。
「…そしたら、また気持ち良くして…」
それは反則っスよ、ななこさん。
*****
二人でしばらくくっついていると、ぐぅぅ…とななこさんのお腹が鳴った。
「…おなかすいた…」
「俺もっス。なんか作ってください。あ、せっかくだから裸エプロンがいいっス。」
冗談交じりにそう言うと、思いもよらない返事が返ってきた。
「…仗助くんもそーいうのが好きなの?…熱いからやだな…」
「やったことあるんスか!?」
「あ、その…ごめん…」
「謝ることじゃないっスけど…」
別に処女性に拘りはしないが、他の男の前でしていた事実を知るといい気はしない。
せっかくの幸せ気分に水を差されて、露伴に殺意が沸く。
「…ごはん作るね。」
ぱたぱたと逃げるように台所へ向かうななこさん。
好きなのに。好きだから?露伴の影がチラつく度に複雑な感情が絡んでしまう。
もう会わないでくれと、そう言ったら彼女は俺だけを見てくれるんだろうか。
露伴が好きでもいいから一緒にいて欲しいと、そう言ったはずなのに気付けばどんどん欲張りになってしまう。
ぐうぅ、という音で現実に引き戻される。
どうやら空腹だったようで、気弱な思考の原因はそれだと無理矢理自分を納得させて、俺はななこさんの名前を呼びながらいい匂いのする台所へと向かった。
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bkm