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子供扱いしないでよ。

「ねぇプロシュート。なんでそんなに偉そうなの。」

顔を見れば兄貴風を吹かせてくるプロシュート。同年代の彼に、マンモーナだのバンビーナだの言われるのは正直気にいらない。私だって暗殺者なんだから。

「お前こそ、なんでそんなに偉そうなんだよ。」

バンビーナの癖によ、と鼻を鳴らすプロシュート。見下ろす視線に苛立ちが混じっているのがわかる。

せめてホルマジオとかギアッチョ相手の時みたいに、対等にしてほしい。(メローネに対する扱いみたいなのはごめんだけど。)
ペッシみたいに『兄貴ィ!』なんて慕えない。だって、多分貴方年下だもの。

「そりゃあ、私の方が年上だから。」

そう言えば、プロシュートは意味がわかりません、みたいな顔で私を見つめた。
何言ってんだコイツ、と顔に書いてある。

「はァ?そんなナリして良くもまぁそんな嘘がつけるもんだぜ。10代の小娘がよぉ。」

「いや嘘じゃないってば。10代とか残念ながら遠い昔の出来事なの!」

あ、なんか言ってて悲しくなってきた。
確かに日本人の年齢は判断しにくいとよく言われるし、私は胸もなくてやせっぽちでイタリア女性みたいにセクシーな体つきじゃあない。でも、バンビーナでもマンモーナでもないの。

「何言ってやがる…」

「なぁにケンカしてんのー?」

間延びした声を出しながらメローネがリビングに入ってくる。

「メローネ!プロシュートがぁ!」

ざっくりと喧嘩の理由を説明すると、メローネは楽しげに笑った。

「んー、ななこは日本人だし、ディモールト可愛いから仕方ないね。」

よしよし、と頭を撫でられる。
メローネは時々私をこうして甘やかすけど、それは全然不快じゃない。なのにプロシュートにそうされると、すごく嫌なのはどうしてだろう。
一頻り私の髪を楽しんだ後、メローネはプロシュートに向き直り、言った。

「ななこのが年上だってのはさぁ、本当だと思うけど。確認したら早いじゃん?」

そうしてメローネは、私達に生まれ年を聞いた。結果、プロシュートは私の一つ下。

「うそだろ…」

愕然とするプロシュート。
だから子供扱いしないで欲しいの。と告げれば、メローネが私を嗜めるように言う。

「でもななこだってダメだよ。プロシュートだってさぁ、口説いてんだから気付いてあげなきゃ。そんなんだからバンビーナだと思われるんじゃない?」

それとも日本人はみんなそうなの?なんて不思議そうな視線を向けられる。
スキンシップ過多なのもやたら甘い台詞を吐くのも、イタリアーノだからだって思ってたけど。

「え?口説く…!?」

驚いて見つめたプロシュートは、気まずそうに視線を逸らしてメローネを殴った。

「あいたっ!なんで殴るんだよ!むしろ感謝して欲しいくらいなんだけど!」

「うるせえよ。」

ぎゃあぎゃあと喚くメローネは、ななこたすけてー、なんてちゃっかり抱き着いてくる。
そうして耳元で、甘く囁く。

「そんなのやめてオレにしたら?」

「冗談やめてよメローネ。」

ぐ、と押し返せば、思いの外勢い良くメローネが離れる。と思ったら、別の体温に包まれた。どうやらプロシュートがメローネを引き剥がしたらしい。

「…テメェになんか渡すかよ。」

状況を飲み込もうと必死で頭を働かせていると、唇に柔らかい感触。
「ブッ殺すと心の中で思ったならその時スデに行動は終わっている」って言ってたけど、キスはそれ、ダメじゃあないかしら。

「…っん、う…」

抗議の言葉を述べようと唇を緩めれば、ぬるりと舌が入ってきて。
酸素不足で身体に力が入らなくなった頃、ようやく私は解放された。

「…好きだ。」

「…人がいるところでするもんじゃあないでしょ。」

恥ずかしくてプロシュートの顔が見られない。心臓がドキドキ煩くて、顔を背けながらそれだけ言うのがやっとだった。
けれどなぜか返事をしたのはメローネで、私が顔を背けたその正面に立ってにっこりと笑っている。

「じゃあ俺と二人っきりになろ。」

「メローネは嫌。」

ぷい、とメローネから視線を外したら、プロシュートの方を向いてしまって。
視線がかち合う。彼の目は真剣で、メローネのことなんてまるで眼中にないみたいだった。

「…じゃあ、続きは部屋で、な。」

腕を引かれて強い調子でそう言われれば、足を運ぶ以外の選択肢が見つからなくて。
マンモーナ扱いが嫌だったのは、妹みたいに思ってるだけなんじゃないかって不安だったんだと気付いた。
ちゃんとシニョリーナとして見てくれるなら恋人になってあげる、なんて言ったらプロシュートはどんな顔をするだろうか。


萌えたらぜひ拍手を!


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bkm