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続・赤いたぬきと緑の〇〇〇

「…か、きょ…ぅあ…んッ…」

「ね、ななこ。…好きだよ。」

花京院くんは楽しげに笑っている。その指先は私の中に沈められ、卑猥な水音を立てていた。聞きたいことは沢山あるのに、名前すら満足に呼べない。浅い呼吸を繰り返しながら、彼の身体に縋り付いた。

「…ぅ、や…ぁっ、な…んでッ…」

「目の前で彼女がこんな可愛らしい声を上げてるのに…我慢できる男がいるわけないだろう?」

別に好きでこうなっているわけじゃあない、と言いたかったのだけれど、私の唇は嬌声しか零さない。花京院くんの指先はそんな私を更に追い詰めていく。

「あっ、あ…かきょ、いん、く…んッ…」

目の前が白く弾ける直前で、彼は指を引き抜いた。戸惑いながらも呼吸を整えようとする私を見つめながら、「いいかい?」と返答なんて求めていない質問を投げかける。

「…好きだよ。」

ぎゅう、ときつく抱き締めながら貫かれて、背筋が戦慄いた。ゆっくりと押し入られる感触に、堪えきれない悲鳴が上がる。花京院くんのひどく幸せそうな表情が視界に入り、なぜだか安堵した。

*****

「…大丈夫かい?」

「折角お風呂に入ったのに…」

不満の声を上げると彼はごめんね、と悪びれもせずに笑う。そうして「だってあんまり可愛いから」なんてさらりと言うからタチが悪い。

「…アレ、なんだったの…?」

「え?なんのこと?」

しれっとした顔でとぼけているけど、あれは間違いなく花京院くんだったという確信がある。何故かは私にもわからないけれど。

「…花京院くんでしょう。」

じとりとした視線を送ると、彼は困ったように笑いながら頷いた。気怠い身体を起こして彼に向き直り、文句を言ってやろうとしたところで、また「何か」が私に絡みついた。

「…見える?」

「…や、あっ!ちょ、…ッ…」

身体を捩ると花京院くんは楽しげに笑って「そんな声出すとまた襲っちゃうよ?」なんてのたまう。

「なに、これ…っ…」

がし、と掴むと思いの外しっかりとした感触。目を凝らしても見えないのに、それは確かに私の手の中にある。

「…なんて説明したらいいかなぁ…」

さして困った様子も無く彼は首を傾げ、手も使わずに私を抱き寄せた。ぎゅうと抱き締める感触は花京院くんの腕と似ているのに、彼の手は両方とも私の目の前にある。なんだかすごく不思議。

「…ね、花京院くん。」

見上げると彼は優しく微笑んで、どうしたの?と目だけで問う。鳶色の瞳とピンクの髪が彼には良く似合うな、なんて。

「私、花京院くんの手がいい…」

そっと背中に腕を回すと、花京院くんは少しばかり驚いた顔をしてそれから嬉しそうに笑った。

「…お安い御用さ。」

回された腕が温かくて、このままなにも考えずに眠りに落ちたい誘惑に駆られる。あぁ、でもアレがなんなのか教えてもらわなくちゃあ。

「で、…あれはなんなの。」

「…あれはねぇ、」

そっと背を撫でながら花京院くんは寝物語を話す母親のように柔らかな言葉を紡いだ。
スタンド、なんてファンタジックな話だけれど、実際目の当たりにしては信じるしかなくて。

「…はいえろふぁんと、ぐりーん…?」

「そう、ぼくのスタンド。…ななこにも見せてあげたいな。」

「…私も、見てみたいよ。」

そう言って見つめた花京院くんは、ほんの少しだけ寂しそうな気がした。

「…ここにいるんだよ。コイツは『ぼく』だから。」

切実な響きが含まれた言葉。花京院くんはきっと、ずっと誰にも信じてもらえなかったんじゃあないかと思う。
言われた先に腕を伸ばせば、確かに花京院くんの言う通り、彼はいた。

「…見えなくても大丈夫。」

ハイエロファントの形を確かめるように腕を回し、ぎゅうと抱き着く。向こうに私の腕が見えるのに、私は彼を抱き締めているなんて不思議。

「…あったかいね。」

「…花京院くんに、伝わるの?」

「言ったろ、コイツは『ぼく』だって。」

それならば話は早い、と私は腕を回した彼の首筋に唇を寄せる。

「…大好き。」

ちゅ、と音を立てて口付けると、花京院くんは幸せそうに笑った。

「…そんなことしたら、今夜は寝かさないよ?」




20160114


萌えたらぜひ拍手を!


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bkm