洒落にならない銀魂シリーズ | ナノ

 プロローグ

「じゃじゃーん!昨日の電気店の依頼で贈呈されたノートパソコンでございまぁーす!」
「半分タカリでしたけどね。しかも定価の半額以下ってケチり文句で」
「知らねぇよ。新八くぅん依頼の報酬は時には物資提供な時もあるんだよ。文句言うんならこのノートパソコンお前いじらなくてもいいからね。折角ネット環境が整ったらお通ちゃんの公式ブログとかアクセスできると思うんだけど、嫌ならいいんだからねー」
「うわぁぁあああああ!!ごめんなさいごめんなさい!ごめんなさい銀さん!流石ですよ神様仏様!」
「でも銀ちゃん、やったアル。改装工事終えた電気店に家電運ぶって依頼でこんなかっこいいものがもらえるなんて」
「体力勝負だったからな。本当は冷蔵庫や洗濯機も新調したかったんだけどこれだけで我慢してやったんだ、有難く思って欲しいぜ」

うきうき気分で万事屋の三人は一つのノートパソコンにこぞっと集まった。早速テーブルの上に置いてソファに三人仲良く並んで座る。銀時の言うとおり、ネット環境も整って貰っているのであとは立ち上げるだけである。早速電源を入れてみるとジジジ、と軽く小さな音を立ててパソコンが動き出した。
バージョンは少し古いが、まだまだ最新と言われた薄型のノートパソコンは、「ようこそ」の表示の後数十秒してデスクトップ画面が表示される。

一つ一つの動作だけで三人は現金に喜び、声を上げて舞い上がった。いちいち反応しつつパソコンの動きを観察する自分達はとても新鮮な気分である。

「とりあえずアレだな。ホームページ作るか。万事屋銀ちゃんをネットにも広めて更に依頼を増やすぞ」
「あれ、銀さんネットに強いんですか?」
「まぁ、中の下位の技術は持ち合わせてるわ。そうだ、ヅラのブログでも見てみるか」
「へぇー人は見かけによらない・・・・っていうか桂さん、攘夷志士の癖にそんなものやってるんですか?サイバーポリスに引っかかりませんかね・・・」
「ハンドルネームもカツーラだしなぁ。怪しいよな」

新八とインターネットに繋げてブログサイトへアクセスしようと、検索キーワードを打ち込みクリック。その指先は意外と滑らかで慣れている手つきであり、更に新八は驚いた。いつパソコン技術を得ていたのかと聞くと「高杉んとこでよくいじらせて貰って、それを覚えた」と答えられる。銀時が鬼兵隊の船へ時折赴く日常の動きを思い出し、妙に納得してしまった。2人の恋仲の様子も思い出し思わず口元を閉じる。自分にとってはまだ分からないものであるし、銀時が高杉の元へよく通い、そして彼高杉も万事屋へ来る。いい仲なのは承知の上だが、家族を横から取られる感覚に苛まれるので余り好きではなかった。

「あ」

新八が悶々していると銀時が短くそう呟く。神楽と新八は一瞬顔を合わせどうしたのかと問う。

「これ懐かしいな・・・てかまだあったんだ。ウケる」
「銀ちゃん何?それ」
「これなー、まだ俺が万事屋開く前の頃つけてたブログなんだけど。ぎゃあ恥ずかしい。え、ちょ、もしかしてリンク先まだ生きてっかな。プププ」
「ちょっと銀さん自分だけ盛り上がらないで下さいよー。万事屋銀ちゃんのホームページはどうしたんですか」
「あー、それな。そうだそうだ・・・・まぁいいや、後でじっくり見ようっと。うひゃああヅラが当時やってた写メ日記のリンクもまだ生きてるぎゃはははっ後で高杉とスカイプしようっと」

かくして万事屋にノートパソコンが新入りした訳だが、新八がお通の公式ブログを眺めた後、銀時が昼寝し寝息を立てている最中色々検索したりしてネットの海を彷徨った。

今は何もブログ記事とかアップしていないのかな、銀さん・・・。

そんな興味が沸いた。
「カツーラ ブログ」と入力し桂らしきブログ記事を見つけたが、銀時へのリンク先は見当たらない。その代わり「封印」と明記されたバナーを見つけ、新八は徐にそれをクリックしてみた。パスワード画面が表示され、あーと落胆する。パスワード設定されていては中身を見ることが出来ないので途方にくれた。

「joy4とかないよね」と心の中で呟き、それを入力。
なんと、入室。簡単すぎて新八は逆にうな垂れた。もっと難しいものを設定しておかなければ見られる危険性もあるというのに。実際こうして入れてしまったのだから。

クリックされた後質素な真っ白画面に縦に並べられた日記サイトへ飛び、そこには紫色、青、水色、赤のタイトル文字がまばらに並んでいる。なんとなくだが、これらは彼等四人のイメージカラーに見えた。実際水色の日記記事を見てみると、綴っていたのは銀時らしき文面。文面だけと言うのに、銀時の雰囲気がが見えたのでまず間違いないと思う。
だとすれば、青は桂、紫は高杉、赤は坂本らへんだと思う。着ている着物の色で率直に確信もなく思ったが、他の記事を見てみても文面は皆個性が出ていた。それにしても難だろうか、この日記は。順番で書いている訳でもない。桂の記事が二回連続な時もあれば、不定期に銀時も綴っている。そして記事の内容も奇妙なものばかりであった。

「あー、見ちゃったの?それ」

ドキリとして振り向けば銀時がいつもの調子で覗き込んできていた。先に謝っておこうと口を開いた矢先「つーかよく入れたね」と関心され。「joy4なんて簡単なパスワードかけてちゃダメですよ。丸分かりです」と控えめに答える。

「あの、銀さんこれは・・・・」
「んー、これね。怪しい体験したものを記してる日記。四人で共有してそれぞれが打つの」
「怪しい体験と言うのは・・・」
「新八ってホラー系苦手?」
「苦手なのは銀さんの方でしょ。僕は見るのは好きですけど。心霊動画のランキングの番組とか」
「ああいうの大抵偽者とか加工してるのばっかだよ」
「え?」
「実は俺等、見えたり感じたり出来ちゃうの。人に言うと変な人って思われるから余り胸張って言いたくないんだけどね。あ、って言っても俺単体の場合は何も見えない。四人で集まってるとお互いの弱い霊感が共鳴?みたいなの?をして見えたり感じれるようになるんだよね。因みに高杉さん結構霊感強い」
「そうだったんですか・・・」

成程、これは不思議な体験をした時の事を綴る日記なのか。
確かに日はまばらであるし、月をまたぐ時もある。この不思議な体験日記は随分前から綴られていた。最新記事は数ヶ月前でタイトルが紫色。高杉が綴った記事で最後である。

「今でも四人でこれ更新しているんですか?」
「うん、不思議体験した時はね」
「例えば、どんなものを・・・」
「見てみれば分かるよ」
「良いんですか?」
「確かに秘密な日記だけど、新八なら見てもOKだと思う。けど読むのに集中して呼ぶ場合もあるから気をつけろよ」
「銀さん怖いの駄目なんじゃないんですか?」
「今でも嫌だよ。怖いし。でも高杉が近くにいてくれたら・・・」
「あー・・・ノロケ話に繋がるんですね、もういいです。ありがとうございましたご馳走様です」
「ちょっと、別にそこまで嫌がらなくてもいいだろ」

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