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 私の夢

あなたの夢はなんですか?



ポスターに印刷されている大きなフォントのメッセージは、とても眩しくてそして諸刃の剣の呪文のようだった。

朝起きたら髪をとかし、制服に着替えて、朝食の軽く焼けたパンをかじり、軽いメイクと歯磨き。
かばんに自分だけの秘密の本と教科書ノートを入れなおして筆記用具の確認。
筆記用具は私には欠かせないアイテムで、キャップを抜いて薄い罫線しかないノートに乗せる様に字を綴ると虹色に光るボールペンが一番気に入っている。
それがないと私は気が乗らないというか、テンションがとてつもなく下がってしまう。

紺色のセーラー服に三本線、赤いリボンと黒いハイソックス。
どこにでもいる女の子だけどどこにもいないような心を持った私。

世界はこんなに輝きに溢れている事を、部屋の片隅で震えながら願って勝手に空気に描いている夢多き乙女の私。
本当は世界は地面も空も空気も灰色の淀んだものだと今は知らない。
虹色のボールペンを武器に私は空に向けてキャップを外して描いてみるのは。

「私の夢。」

私の夢は、旅人になる事だ。
アジアンカラーな服を着て、エキゾチックな町を抜け、砂地を歩むキャラバンに憧れているのは親には内緒。

世界は夢と希望に溢れている!
そう、河川岸の砂利道を踏みしめて世界を包むように両手を広げて叫びたい。



(200X年4月未明 中学3年生作文「私の夢」より)

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