産まれてから暫く経っても、私は嬉し涙を止めることができなかった
しかし、ようやく落ち着きを取り戻してきた
そんな時だった
(あれ、身体が……なにかが可笑しい)
私が、自分の身体の異変に気付いたのは
人間だったときと違い、手や足のバランスが可笑しい
私のそんな気持ちに気付いたのか、お母さんが話す
「まだその身体に、慣れないであろうが辛抱してくれや
しかし、成長すれば人形にもなれるでな」
またお母さんは後ろに控えていた美しい女性に声をかけ、鏡を受け取っていた
その鏡に写っていた私は
(…り、龍……!?)
ミニマムだが、立派な龍の姿だった
母親の腕に丸まって収まる姿は可愛らしい
しかし、人間として産まれたと思っていた分、衝撃が大きい
(……でも、私は私だから)
龍として産まれたとしても、私は私
なぜか分からないが、すぐに私は受け入れていた
「ほんに良い子じゃ
もう少し大きくなるまでは龍の姿じゃが、良いであろう」
成長するまでは龍の姿と説明された私だが、産まれたばかりだからか睡魔が私を襲う
とろん、としてきたのがわかったのか、母が微笑み告げた
「……今は、眠るがよい」
その笑顔と優しげな声に後押しされ、私の意識は闇に沈むのだった
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