「…ん……」


パチリと瞼を開けるとそこには燦々と輝く青空が広がっていた


「…………」


(ここはどこ?
……ああ、確か自然なる力の声を聞いたんだ)

そして、


「――あぁ送られたのか、違う世界に」


虚ろな瞳をした少女は空を見上げたまま呟く

ああ、どうして母なる自然は私をここに?
どこへ行っても私は異端児、受け入れられない存在なのに…


地面に大の字に寝たまま彼女は空を見つめる

しばらくそのまま見つめていたが、このままではダメだと思い立ち上がった

が、ここがどこなのか?どんな世界なのかも分からないのでは動きようがない

危険な世界だったら危ないし、と頭の片隅で考える


が、ずっとここにいても発展しないと分かりきっているのでとりあえず危険を覚悟で歩き回る事にした

とりあえず天気は快晴
周りには森と海がある

レイはまず海の方に向かって歩き出した


「……スゴい、綺麗…………」


レイの目に飛び込んで来たのは日の光を浴びキラキラと輝く大海原

広大に広がる海には幾多もの生命の息吹を感じる


「……落ち着くな、この世界」

何も知らないからかな?
それに自然が豊かで、力がみなぎってくる


サァーと心地よい風が吹きレイの髪を揺らす


「春なのかしら?暖かい」


瞳を閉じそよそよと吹く風を感じ気持ち良さそうに呟く

しばらくはそのまま風に髪をあずけていたが、気配を感じ振り返った

そこには1人の少年がこちらを見ながら立っていた


「誰?なにか用かしら?」


レイの声を聞いた少年はビクッと肩を震わせた

レイの声がとても綺麗で穏やかで……
とても落ち着く声音だったから


「……お前、この島の奴じゃないだろ?
こんな所で何やってんだ?」


「別に……
ただ、海を見てただけよ」


呟くレイの言葉に少年は目の前の海を見つめる

いつも見ているはずの海が今日はなぜか輝いて見える


「……お前、名前はなんて言うんだ?
オレはジン!ジン・フリークスだ」


名前を告げた少年にレイは危うく叫ぶ所だった
それはなぜか

少年の名前が『あの世界』にあった漫画と一緒だったから


「ジンと言うの……?
私は、レイよ」


後ろを振り返りフワッと微笑む
その微笑みを見たジンは頬を赤く染める

レイはそれに気付きながら、悲しみに目を伏せた


(私は化け物なのよ、ジン)


「レイは何でこの島にいるんだ?」


「……優しい所だから」


悲しげな#笑みを浮かべるname#に気付いたのか、ジンは笑って告げる


「…レイ、一緒に遊ぼうぜ!
島を案内してやるから

旅人なんだろ?」


「……ええ、そんな所よ」


ジンはその言葉を聞くとレイの腕を掴み歩き出した


「くじら島はな本当にくじらみたいな形だからこの名前なんだぜ!かわいーだろ?」


ニカッと笑うジンにレイも微笑んだ

この幸せそうな、夢に満ち溢れる少年の未来を想像して


ジンに連れられ歩いていると、様々な人が話しかけてくる

ジンは慕われているんだとレイは思った

自分では有り得ない日常が、眩しかった


このジンとの出会いが、少女の運命を変える

異端児と呼ばれた少女は、幸せを掴む事が出来るのか







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