凜は久しぶりに感じた光に、瞼を開けた
そこには木でできた天井と、ほっとしたような笑みを浮かべる老人がいた
「…目が覚めたんじゃな、ナルト」
良かったわい、と息をつく老人に凜は意識を働かせた
頭に被っている笠から、火影であると気づくことができた
それも王牙からの情報が無ければ気づくことも出来なかったが
ソファーに横になっていたらしいが、今ここにて自我が芽生えた自分では何があったのかわからない
とりあえず喋ってみようと口を開いた
「……ここ、」
「火影の執務室じゃよ、ナルト」
先ほどからナルト、と呼ばれるのに凜はこれが自分の名前なのだと実感した
「……すまんのぅ、ナルト
まさか、暗殺を謀るとは」
言葉を詰まらせる火影を、凜はただただ観察していた
私はまだ、この世界を知らない
しかも暗殺だなんて、本当に自分の予想通りになった
こんな幼子を殺そうとするほど、自分は憎まれているのだと…
この状況を考えると、まだ火影だけは自分の助けになってくれるのだと
「わしはまだ仕事があるから、ナルトはそこで寝てておくれ
夜になったらわしが部屋まで送ろう」
その言葉を聞き、私はそれまでは観察を続けようと決めた
この人物が本当に私の味方なのか、否かを
キョロキョロと視線を彷徨わせる私を見ていた火影は、扉を潜り隣の部屋へ消えた
それを見送り、私は自分の力で起き上がろうとした
が、私の体は王牙の予想通り、1歳ほどだ
1歳と言えばようやく歩けるような年齢である
それに溜め息をつきたくなるが、これもまた運命
ふかふかのソファーから起き上がるべく、私は自分の体に力を入れるのだった
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