そこは不思議な空気が満ち、静けさだけが存在していた
日本の森とは違い、林のようなもので進む事は容易だった
サクサクと歩を進めると、目の前に美しい泉が存在を現した
キラキラと夕陽が水面を照らし出し、幻想的な光景を作り出している
「―――……すごい」
思わず足を止め、呟く
泉に誘われるように一歩踏み出したツカサは手を泉に入れてみた
(…きもちいい……なんか心が安らぐ)
安心し瞳を閉じた瞬間、ツカサは違う場所にいた
見渡す限りの青
視界ははっきりするが、目の前を魚が泳いでいるのを確認し、水中だと悟る
『水中……?』
話すと同時に少しこもった感じの声が耳に届く
『もしかして、あの泉の中?』
私はただ、呆然と呟くのだった
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