ガラガラ


第一小教室の扉を開くと誰もいなかった

が、黒板には先生からのメッセージがこう残されていた


“教卓の上のプリントを全て終わらせる事。それと明日の数学のテストで赤点を取らないよう勉強する事。テストで赤点を取った場合は二人とも補習”


「プリント全部って……山のようにあるんだけど…」


そう呆然と呟くと同時にガラガラと扉が開いた

誰だろ?と振り返ると楓は目を見張った


「…切原くん」


嘘でしょ?勉強会の相手が、あの切原赤也!?ヤバくない?

私、絶対ファンの子に殺される


「――楓か?」


「……よく名前知ってたね。話したことも無いのに…」


「ま、クラスメートだし
で、何で楓が此処にいんだよ」


疑問に首を傾げる赤也に楓は答えた


「私も勉強会に出るの。先生に言われて……」


「担任に?でもお前確か頭良かったよな?」


何で?と聞かれ楓は素直に答えた


「今日ちょっと担任怒らせちゃって……

お前は勉強会に行って勉強教えろ!!って」


「うっわ、ドンマイ
つかお前がオレに教えんのか」


「嫌々ながらそうです……
ごめんね、私なんかで」


謝る楓を見て赤也はきょとんとした後、笑い出した


「くっ、あはは 楓って普通の女とは違うんだよな

騒がないし!」


「そう、かな?

あ、ぱっぱとやっちゃお?
こんな山みたいなプリント、早くやんなきゃ終わんないし」


手伝うからさ、と言い楓はプリントを持ち机に移動した

それを見て赤也も机に腰掛けた

それから数十分は静けさが場を支配していた


「あーーっもうわかんね!

限界だー、楓無理ッ!」


っビックリした…てか無理って言われてもな


「どっか分かんないトコ、あったの? 」


優しく問いかける


「ほとんど全部なんだけど…

わりぃ、オレ授業はいっつも寝てっからさ」


堂々と言う切原赤也に楓は苦笑いした


「そっかぁ、切原君運動部だから大変だよね…
よし、んじゃ私が1から教えてあげるねっ
私が分かるトコだけだけど…」


ボソッと付け加える

「ぷっあっははは
楓っておもしれぇな!」


マジでツボッた!と机をバンバン叩きながら笑い転げる切原赤也をキョトンと見つめる楓

それを見てまた笑う切原赤也

楓はその笑顔を見る内に顔を赤く染めていた


な、何だろ……顔がっ!
切原君の笑顔がなんか……

すんごく可愛いッ!なんか男の子に可愛いって変だけど、切原君の笑顔って癒されるかも……


っ駄目駄目!何変なこと考えてんだっ!もしも、もしもだよ

私が切原君の事好きってファンの子達にバレたら……

ってか私が切原君の事好きなんてありえない!今日話したばっかりなのに……


だが楓はバレた時の事を想像した
途端楓の顔色がサァーッと蒼白に変わった

それに気付いたのか気づかないのか赤也は普通に話し出した


「オレの事普通に見る奴って、珍しいから

毎朝毎朝女子はウルセェし」


はぁと深く溜め息をつく赤也


「……そっか、大変なんだね

でもそれだけ切原君が皆に好かれてるって証拠でしょ?嫌われるよりは好かれる方がよくない?

切原君はきっと大切にされてるんだよ!」


沈黙が場を支配した


机に肘をのせ、そこに顔をのせながら言う楓



「……そうか」


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