Lの機嫌が悪い。
 理由は分からないが、怒っている事は察しがつく。虫の居所がわるい日なのか、それとも誰か怒らせたのか。
 ――少し前までは普通だったし、後者かな。
 ちらりと視線を左右へと向ける。自分の右隣には彼のLがいて、左隣にはLと長い手錠で繋がっている月が座っている。他に人影はない。つまり、自分か月が原因のようだ。
 ――何かしたっけかなあ。
 目線だけは資料に向けつつ、記憶を手繰る。普段通り調査をし、普段通り動向を探り、普段通り息抜きをし……。特に変わった事、それもLの機嫌を損ねるような記憶はない。
 ――変な所で気まぐれだからな、Lは。
ヒナ、居眠りするなら淹れてきてください」
「ん、はいよ。月くんのも淹れなおしてくるね」
「うん、ありがとうヒナさん」
 眠っていたのではなく、考え事をしていた……と言ったところで聞く耳はないだろう。素直に三人分のカップを持ち、二人の間から身を引く。
 部屋を出る際背後で会話が始まったようだが、生憎と扉が閉まってしまったことで、その会話を聞くことはできなかった。


「私のヒナに慣れ慣れしくしすぎです」
「ただ雑談してただけだろ、お義兄さん?」
「社会的に抹殺してあげましょうか」
 
( あんたが悪いんだ )

 
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