Love letter



「ありがとうございました」と呟いて頭をあげると、ガタンッと派手な音とともに獄寺の椅子が倒れた。
振り返る獄寺と目が合う。


『……っ』
「…ちょっと来い!」

赤い顔の獄寺。
こっちに来たと思ったら、腕をグイッと掴まれて引っ張られた。
クラス中の視線が私達に注がれる。


『ちょ、何す……』
「……、」

ちょっと抵抗してみても、獄寺の力は強くて振りほどけなかった。
かあぁ、と顔が赤くなるのが自分でもわかる。
冗談として受け取られるか、流されると思ってたのに、なんか大事になっちゃったよ……
私、どんな態度でクラスに帰ればいいのかな……


そんなことを考えながらも引きずられるようにして廊下に引っ張られ、人のいない教室、音楽準備室に連れられた。
鍵を閉めたあと、ようやく手を離してくれた。
さっきまで掴まれてたいた腕は、まだ熱を持ったまま。


ふぅ、と溜め息をついて、私を見つめる獄寺。
真剣そうな表情に、胸がキュッと締め付けられる。


「なぁ……、さっきのって本当かよ」
…獄寺、顔真っ赤だよ。
私も負けないくらい赤いと思うけど。


『…その前に私の手紙に答えてよ』
「…、…お前は冗談のつもりかもしんねぇがオレはお前の事が好きだ」


『…冗談なんかじゃ、ないよ』
「……!」

『私も、獄寺の事が好き…ずっと前から』


そう言って笑うと、獄寺も赤い顔のままはにかんだように笑った。

――そして視線が絡まって、どちらからともなくキスをした。




(うう……どんな顔して教室行けばいいんだろ…)
(目立ってたからな)
(うっ…どうしよう…)
(別に堂々としてりゃいいだろが。キスでもして、見せつけてやるか?)
(なっ……遠慮します!!)




((あーあ、獄寺とユリのヤツ、ついにくっついちまったのな))


-end-


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