毎朝、ふたりで朝食を。



「んっ、うまい!めっちゃうまい!」
私の作ったお味噌汁を一口飲んで、翔平は本当に美味しそうに目を細めて笑う。
『そんな大げさな……ふふっ』
彼のリアクションに、思わず笑みがこぼれる。
「大げさなんかじゃないって!柚月も飲んでみろよ!」


(別にいつも作ってるのと変わらないと思うんだけどな……)
そう思いながらも茶碗に口をつけると、確かに今までにないほど美味しく感じられた。
康一さんの妻であった時にも何度か作ってきたこのお味噌汁は、今までで一番美味しく感じて。


『確かに、美味しいかも…』
私がそう言うと、翔平は得意げにニッと笑う。

「だろ?柚月の料理はうまいんだって!」
彼のその言葉に嬉しくて、少し照れくさくて、誤魔化すように翔平の作った卵焼きを口に運んだ。


口の中に入れた途端、甘さとうまみがふんわりと広がる。
『…!美味しい…。翔平、この卵焼き、すごく美味しい』

私がそう言うと翔平は少し照れたように頬をかいた。
「大げさだって!別にいつも作ってるのと変わんないし」
そう言って彼も卵焼きを口に入れた。
その後数回口を動かすと彼は驚いたように目を見開き、飲み込んでから笑顔を浮かべた。

「確かに、うまかった!…今まで作ってきた卵焼きの中で、一番うまかったかも。俺、卵焼き職人になろっかな〜」

冗談交じりに言う翔平に私も笑みを返す。
『ふふ、翔平ったら…。でも、本当に美味しいね』
「ま、翔平様の手にかかればこんなもんよ」


彼の言葉に私が笑うと、翔平も楽しそうに笑う。
「…でも、次は柚月ん家の卵焼き作ってくれよな?…将来の俺たち相葉家の定番になるかどうか、卵焼き職人が判定するからな。…なーんてな!」
彼のおどけて言った言葉の中に、「将来の俺たち相葉家」という言葉が含まれていて、なんだかキュンとした。

…どうしようもなくこの人が愛おしくて。
『…ふふっ、任せて』


私が微笑みながらそう言うと、彼は急に天井に向かって「あー!俺、今超幸せ!」と叫びだした。
(私も…幸せだよ…)

この人の隣でずっと笑っていたい。
毎朝一緒に朝食をとりたい。
この人と、幸せになりたい。

……康一さんの浮気を見てから、絶対に思うことはなくなったはずのこの感情。
翔平と一緒に歩んでいきたい。



 

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