毎朝、ふたりで朝食を。



昼は同じ職場で働いて。
夜は一緒に仕事を終えて、時々飲みに行ったりもするけれど一緒に帰宅して。
そのままふたり、仕事で疲れた体も厭わずにお互いを求め合って、抱き合って眠る。
同じ朝を同じベッドで迎えて、同じ朝食をふたりで食べる。
そして一緒に出勤して、また同じ職場で働いて。

……そんな穏やかで温かい毎日をずっとふたりで過ごせていられたら。





──トントン。
朝の台所では、包丁で大根を切る音が軽やかに響いている。
その横では、卵を溶く音がリズミカルに流れている。
穏やかな朝の、穏やかな風景。


「なぁ柚月、卵焼きの味付けどうする?」
『私は基本はしょう油とだしを入れるけど…翔平は?』
「俺のとこは砂糖が多めだったかな。うち、下の兄弟が多いからさ。カレーも甘口だったな。じゃあ今回は、翔平様特製卵焼き!な?」
『ふふっ、美味しそう。もう少し火をかけたらお味噌汁も出来上がるから、待っててね』
「おう。…うん、いい匂いだなー!」


ふたりでキッチンに立って、一緒に料理を作りながらふたりで笑い合う。
そんな些細な事が、すごく幸せで。


『ん…そろそろお味噌汁も出来たかな』
「おお。俺の特製卵焼きも綺麗にできたとこ」
『じゃあ、机に持っていこうか?』
「そうだな。…あ、味噌汁熱いだろ、俺持ってくから」

翔平は私のもりつけたお味噌汁の入った茶碗を手に、テーブルのほうへと歩き出す。
『…ありがとう』

私は翔平の背中に小さくお礼を言って、彼が作った卵焼きをお皿に盛り付け、彼の待つ食卓へと向かった。
コトリ、と小さく音を立ててテーブルに卵焼きの盛り付けられたお皿を置くと、食卓は鮮やかになる。


「うわー、うまそう!」
『ふふ、じゃあ早速食べようか。いただきます』
「いただきます!」

今日の朝食はご飯、お味噌汁、焼き鮭、ほうれん草のおひたし、そして翔平特製の甘めの卵焼き。


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