腹が減っては戦はできぬ
それからマリンは、
我愛羅とテマリとカンクロウと共に
木の葉の町を歩きながら昼食を
どこでとろうかと話し合っていた。

「そういえば、マリン、
仕事はもう大丈夫なのか?
無理に付き合わせてないだろうか?」

テマリが心配そうにマリンを覗き込む。

『うん!大丈夫だよ!
今日の午後と明日丸一日は
綱手様が休みにしてくれたの!』

マリンの言葉に我愛羅の肩がピクリと動いた。

「そうか、良かった。
私達も、今日は宿をとってあるから
出発するのは明日なんだ。」

『そっか!じゃあゆっくり出来るね!』

マリンが
再び飲食店を物色し始めた時だった。

「あ!!マリン!!!!!!」

突然後ろから大きな声がかかった。
声の方を振り返ると、
ナルトとシカマルとキバと
チョウジが歩いてきた。

『おー、みんな〜!』

「って、なんで
我愛羅たちもいるんだってばよ!?」

ナルトが我愛羅たちを指差しながら叫んだ。

『さっきまで、五影会議だったんだよ。
これから皆でお昼食べに行く所なんだけど、
何処に行こうか決まらなくて…』

「それだったら俺たちこれから
焼き肉食いに行く所だから
一緒に行こうぜ!」

シカマルの隣にいたチョウジが
威勢よく喋った。


マリンはハッとして、テマリを見ると、
案の体、シカマルに
チラチラと視線を向けていて、
シカマルもテマリの方を気にしている様子だった。


『私、焼き肉賛成!!』





【マリンside】


なんだかんだ
みんな仲良くお喋りしながらお肉を食べた。
まぁまぁ盛り上がった。
いや、だいぶ盛り上がった。

席に着いて早々、チョウジが店員さんに
まるで呪文の様にお肉の名前を長々と唱え、
しばらくすると、テーブルには大量のお肉が
どんどんと運ばれてきた。

いつの間にか、
ナルトとカンクロウとチョウジと
キバと赤丸は大食い対決を始めており、
それを横目に見ながら、
シカマルがテマリにお肉を
どんどん盛り付けて「お前もやるだろ?」
ってニヤニヤしながら渡して、
「誰がこんなに食うかアホ!」
と言いながらもちゃっかり受け取って
口元が緩んでいるテマリ。

それを見て、
私も嬉しくて、ホッコリしていると、
我愛羅が私にお肉をとってくれたから
お返しに、昔、好きだと言っていた
砂肝とタン塩を我愛羅にとってあげたら
心なしか目が輝いていた。

『可愛い…』
と思いながら我愛羅を見つめていると
そんな私をテマリとシカマルが
ニヤニヤしながら見てて、
私は誤魔化す様に慌ててご飯をかき込んだ。

だが、勢いが良すぎて
口の周りがご飯粒だらけになってしまい
それに気付いた我愛羅が
クスクスと笑いながら、
私の口の周りについたご飯粒を取ってくれた

取ってくれたのは良かったんだけど、
あろう事か、私の口から取ったご飯粒を
そのまま自分の口へ運び、躊躇無く食べたのだ。

そう。漫画とかでよく見る例のアレだ。
まさか我愛羅がそんな事するなんて
微塵も思ってなかった私は、
大胆な我愛羅の行動にびっくりして
顔を真っ赤にしてしまった。

そして、はたまた、あろう事か
その一部始終をみんなに見られていて、
シカマルとテマリは相変わらず
二人でニヤニヤしてるし、
それ以外のメンバーは
それから机の上に伏せて、
無言でしばらく動かなくなってしまった。
きっとお肉の食べすぎだろう。
何も、無理して食べる事ないのに。




そんなこんなでワイワイ盛り上がっていると
お昼時に入ったはずが
もう夕方になろうとしていた。


「あー、もう腹いっぱいだってばよ〜」

「今回もチョウジの圧勝だな」

「んじゃ、会計は最下位のナルトで」

「はぁ!??なんでだってばよ!?」

しぶしぶ大金を払ったナルトの
お財布にマリンはこっそり手をかざした。

『(私、昨日お給料日だったんだから。
心配しないで、ナルト)』

後にナルトは帰宅してから財布を開けると
お金が元通りに入っていて、
腰を抜かす事になる。


ガヤガヤと焼肉屋を出ると、
カラオケでも行くかー?とキバが言った。
一行がキバに続くように動いた時だった。



グイッと、後ろから
誰かに腕を引かれマリンは歩みを止めた。




5/32
<< bkm >>