五影会議
「おお、遠い所ご苦労だったな。
まぁ、座ってくれ。」

我愛羅、テマリ、カンクロウの3人は
木の葉の里に無事到着した。
会議室の扉を開けると、
既に着席している綱手が片手を上げて出迎えた。

その綱手の後ろには、
我愛羅と目が合うとペコリと頭を下げる
マリンの姿があった。

「!!」

「マリン!」

「マリンじゃん!」

柔らかい笑顔でヒラヒラと手を振る
マリンに3人はたちまち頬を緩めた。


間もなく五影が勢揃いし、
マリンが机に向かって
サッと手をかざすと
湯気を立てるお茶が現れた。

「マリン、すまないな。」

綱手にいえ、と微笑むマリン。

「木の葉の女神は
お茶出しもスマートなんだな。
ハッハッハッ面白い。」


『木の葉の女神?』

首を傾げるマリンに綱手が口を開く

「知らないのか?
皆、お前の事をそう呼んでいる。
それ程お前の力はこれまでに多くの者を
救い、癒してきたんだよ」

『…そ、そんな恐れ入ります。』

「ハッハッ容姿端麗で
素晴らしい力もある、オマケに謙虚ときた。
どうだマリン、こっちに嫁に来る気はないか?」

苦笑いを浮かべたマリン。
ギロリと、自分の斜め前に座る
先からマリンにちょっかいを出している人物を我愛羅は睨んだ。
そんな光景を内心、ヒヤヒヤと
後ろから見守るテマリ。

そんな中、綱手が笑いながら口を開いた。

「残念だが、マリンは嫁にやれないな。
こいつには、もう心に決めた相手がいるからな」

『な!つ、綱手様!』

我愛羅がマリンに視線を向けると
真っ赤になりながら
勢い良く目線を逸らされた。

「(!!目を…逸らされた…)」

我愛羅の方をニヤニヤと見つめる綱手の視線に
当の本人は全く気が付いておらず
息をするのを忘れるくらいに思い詰めていた。

「(マリン…心に決めた者ができたのか…
そんな…俺と離れた2週間のうちに
木の葉でいったい何があったのだ…)」

胸騒ぎがして、
ぐるぐると黒い感情が渦巻く。

「余談が過ぎたな。始めようか。」

綱手の一声で
我愛羅は我に帰り、
厳粛に会議は進んでいった。








「よし。お開きとしようか。」



『綱手様、お疲れ様でした。
後片付けはお任せ下さい。』

「ああ、すまない、頼んだ。」

(それが終わったら、今日はもうあがれ。)

コソコソと綱手がマリンに耳打ちし、
我愛羅にチラリと目線を向けた。

『…!!』

マリンは照れ笑いを浮かべながら
綱手に『ありがとうございます…』と囁いた。

それから5つの湯呑みを持ち、
会議室を後にするマリンの姿を我愛羅は
じっと目で追った。



「マリン…」





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