パーティーへのお誘い
ゲリラ女子会から2週間がたった。

マリンは、任務から帰り、
綱手の元へ報告に行くと、いきなり
「ドレスを持っているか」と尋ねられた。

マリンはいきなり何事かと思っていると、
綱手に「親睦会に出てほしい」
と言われたのだった。

『親睦会、ですか?私が?』

「ああ、もちろん私も参加するがな。
親睦会は1週間後に、
岩隠れの里の高級ホテルで行われる。
各里の有力者が集って、
親睦を深めるのが趣旨だ。
まぁ、簡単に言えば、
里のお偉いさん方の暇を持て余した
立食パーティーだ。
5国以外にも約17カ国が参加する予定だから150人程集まるはずだな。」

「そこで、木の葉の有力者代表としては
お前を推薦しようと思ってな。
それにお前が隣に居てくれれば、
私もいくらか印象が良く見られるだろう。」

はっはっはっ!と笑った綱手に
マリンは呆気にとられる。

『は、はぁ。』

「なんだ?乗り気じゃないのか?
今どきの若い女は高級ホテルの
立食パーティーと聞いたら
跳んで喜ぶもんだろ?」

『あ、それはもちろんすごく
嬉しいんですけど、
私、パーティーとか慣れてないし、
ドレスも持ってないですから…』

「そんなのカカシに
言えばポンポン買ってくれるだろう。
それにお前ももうハタチだ
パーティードレスの一つや二つ持っておいた方がいいぞ。」

『うーん、それもそうですね。
今日の帰りに見に行ってみます!』

「ああ。
それと、当日は迎えがあるから
ドレスアップして門の前に午後1時に来てくれ。
また何かあったら追って伝える。」

『わかりました!』



と、言ったものの
何も分からないマリンは
帰りにイノの家に寄って、
事情を説明し、助けを求めた。

「なるほど、ドレスね!
私、いい所知ってるから着いて来て!」

『ああ、さすがイノ様!
恩に着るよ!』

「甘味処の餡蜜、よろしくね♪」

『はいはい、
相変わらず抜かりないこと。』

イノが向かったのは
里でも有名なブランドショップで
マリンは慌てて財布の中身を確認した。

「大丈夫、大丈夫!
私と居れば多少安くなるから!」

『そ、そうなんだ!』

イノはいったい何者なんだろうと
思いながらもマリンは店内に入った。

店内は内装もゴージャスで
明らかに値段が高いであろう
商品の配列の仕方にマリンがゴクリと唾を飲んだ。

「あら、イノちゃん!
いらっしゃい〜!!」

店の奥からオネエっぽい人、
いや喋り方からして
完全にオネエな人が現れた。

「よしりん、おひさー!
あのね、この子
マリンっていうんだけど、」

「あら、あなたがマリンちゃんね!
想像してたより可愛いし、
おっぱいもでかいわね〜!
さすが女神様ね〜♪」

『おっ…』

「まぁ、それは置いといて、
マリンが今度、
毎年恒例のあの有力株パーティーに
出る事になってね、それで、
その時に着るドレスを探してるって訳なのよ」

「まぁ!じゃあ、
木の葉代表って事じゃない!
それは本気出さなきゃね、
任せなさい。他の里の女が
敗北感で思わず頭を抱える程、
私がマリンちゃんを輝かせてあげる。」

「さすがよしりんね!
マリン、よしりんはこう見えても
世界でも超有名な
スタイリストでファッション界の重鎮よ。
よしりんに直接プロデュースされるなんて凄い事なんだから!世の女の憧れよ。」

「こう見えても、は余計よ、イノちゃん。」

『へぇ!よしりんさん、
凄い方なんですね。
ぜ、ぜひよろしくお願いします!』

「おっけーよ♪ じゃあ、
当日の朝10時にまたここへ来て頂戴。
ドレス、メイク、ヘアメイク、
全部私が完璧にしてあげる。」

『はい!よろしくお願いします!
…あ、あの、失礼ですが、
予算はどのくらい必要ですか?』

「あら、やだ。そんなの要らないわよ。
サービスよ、サービス!
マリンちゃんはイノちゃんのお友達だしね♪
何より私がマリンちゃんを変身させたいの。
こんなに創作意欲が湧いたのは
久しぶりよ〜!」

『え、いや、さすがにそれは!』

「いいじゃない、マリン!
こんな事、もう2度とないかもよ!」

「そうよ。
私が直々に手を加えるなんてそうそう無いんだから。
それに、いい女なら、こういう時は素直に甘えるものよ。」

つけまつ毛バサバサの目をパチンと
ウインクしたよしりんに
マリンは固まったのだった。



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