風邪を引いた、気がする。

熱は測っていないから確証は無いが、どうも寒くてだるい。何で家に居るときに気付かなかったのだろうか。俺は部室に向かう途中、グラウンドを横切りながら腕を擦りながら息をついた。

何故か嫌に風が吹いて寒い。



「さっむ」

「……大丈夫か?」



全く持って大丈夫ではない。ああ、これから部活だっていうのに!

誰かが問いかけてきたことにぎょっとして隣を見ると、いつの間にか真田がいた。駄目だ、俺今日はすごい呆けてる。隣に人が居るのに気付かないとか。



「風邪引いたかもしれない。寒い」

「なぬ、それはいかん。早く帰って寝ろ」



でしょうね、言うと思ったよ。でも帰るのだるいなぁ。

しかも一人で帰るのか。俺ぼっち!



「……帰らなきゃいけない?」

「どうしてもというのなら、」



保健室で待っているかと聞かれて、俺は思わず笑った。



「しょうがないから待っててあげるよ」



青空に溶けるような微笑



ちなみに。

保健室では何故かお茶菓子が出たりして、とても有意義な時間を過ごせたことを記しておこう。真田にお煎餅一枚上げたらちょっと喜んでいた。




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