永遠に君は籠の中の鳥だ。真っ白い部屋の中ただ一人だけ座ってイノセンスの原石を眺めて蹲る私に彼らはそれを飲み込むだけでいいんだとひどく優しい声で囁いた。原石といっても固形ではなく真っ黒な色をした液体状のそれはバリウムよりも性質が悪い。私は知っている。今までこの実験をして何人の被検体が犠牲となったか、彼らの恨み辛みがこの部屋に積もり積もっていることを。

液体は私の手から一滴一滴零れ落ちる。私にはこれを飲み干して英霊となるより道は残されていない。さようならクリス・アスフォード、君はここで死ぬ運命だったんだ。仕方ないだろう、私だって死にたくは無いさ。

もういい。諦めるしかない。掌の中の液体を溢さないようにそうっと口元に運べば、液体が口に流れ込むその瞬間彼らはいやに嬉しそうに叫んだ。

   お前は今から神となるのだ!」

私はここで、死ぬ。

  
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