なんかもう面倒臭くなってアジア支部のバクに全部丸投げすると、奴はぷりぷりという表現が本当に全く持って似合う程に怒っていたが流石ストーカーでも科学者である。ワクチンを開発してくれた。支部長すごーい(棒読み)。

「で、俺がお前らに噛まれつつ一々注射してやったんだよ」

俺をこれ以上働かせないで欲しい。引越しの合間に語ると聞いていた奴らは大体お疲れ様でしたと言うような目を遣った。お疲れどころではない。

それで、とコムイに渡された次の任務の資料を捲る。

「げっ、これ嫌なんだけど」
「我侭言わないで下さい元帥……」

誰が好き好んで長官の身辺警護をしなければならん。書類には紛れもなくあの名前を見るのも嫌な奴のそれが書かれていた。

「第一鴉とかはどうしたんだよ」
「…上には、鴉の人手が足りないようなので貴方に指名が着たと説明されましたが、」

それにしても妙ですね、と素に戻ってコムイが呟いた。少人数精鋭、が売りの鴉に『人手が足りない』なんて状況が起こるはずが無い。

「まあ、知らないところで勝手に騒動起こされても堪ったもんじゃ無いからな」

  
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