「元帥」
「あれれ室長殿珍しいな、何があったんだ?」

「イエーガー元帥の目が覚めました」

食事の途中だった。今日のメニューはビーフシチュー、クリームシチューとシチュー尽くめだ。俺は一度スプーンを置くとコムイの方を向く。
室長と元帥というコンビはかなり一目を引くようで、俺達を取り囲むようにして群衆は少しずつ離れていった。野次馬根性溢るる奴らが沢山いるらしい。

「……俺に言ってどうするんだよ」
「それは、貴方がケビン・イエーガーの師であり、彼が最も会いたがっている人だからです」

群集はざわめく。エクソシストなら兎も角、俺とケビンが師弟関係にあることを知る人は少ない。ちなみにだが、俺の不老不死体質も知る人はあまりいないらしい。

それにしても、コムイは今何と言った?

「あいつが俺に会いたがってるって、冗談はよせよ」
「何が、冗談ですかっ! 貴方は全く分かっていない!」

そう怒鳴るなよ、と溜息を吐くと、コムイは今更周りの人集りに気付いたようだった。

「場所を移しましょう」

  
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