装備型イノセンスの進化。リナリーだけが特別扱いだというのか、それとも他の人達にも起こりうる変化だというのか。

「ざんねんでしたね、クリス・アスフォード」
「……何が?」
「わたしはしってますよ? あなたのけんしんのおかげで、あまたのこどもがぎせいになったことを」

いままたおなじあやまちをくりかえすのですか、と舌足らずな口調でそれは俺を詰った。倒せないと分かったら精神を揺さぶる方向に掛けたのか? 糞、性質が悪い。

「……もう、俺は一人じゃないから」

俺はそう言って笑った。レベル4は少し難しい表情をしていて、そのまま一生悩んでろ出来れば死ね。俺はその隙に、奴の懐に踏み込んで剣を突き刺そうとするが流石に跳ね返される。それにしてもこの剣は使えないな、もっと良い武器は無いのか。
剣をもう一度構えなおすと不意に、上空から風を切る音がした。誰か、なんて見なくても分かる。

「行けリナリーッ!」

俺は彼女の名を全力で叫んだ。
清廉なその姿を、俺は汚すことしか出来ない。

  
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