絶望にはもう飽きた
目を覚ますと、目の前には真っ青な空が広がっていた。同時に重力によって地面に引っ張られて唐突に地面に衝突した。



「痛ッ!」
「……鈴祓? どうして此処に!」
「ああジン君ご機嫌麗しゅう」



打った背中を労わりつつも立ち上がると、傍でぎょっと目を剥いていたのはかのジン君であった。私が救ったことによってもしかしたら歴史の修正力とかそういうものによって違う死因でお亡くなりになっているかもしれないと若干の心配を有していたのだがそんな心配もなさそうで何よりだ。

それにしても痛い、と近くにあったベンチに座ると、着いてきたジン君は疑うかのような声で私に問う。



「お前、イズモに連れて行かれたんじゃ無かったのか」
「ん、あーそんなこともあったね。でも君達が情けないから不肖鈴祓帰ってきたのですよ。それに、」
「…それに?」



不自然に言葉を切った私に、彼は気になるのか続きを急かした。そんなジン君に笑うと立ち上がって、ジン君にさえも聞こえるか聞こえないか程の小さな声で囁く。



「戻れないって絶望するのにも、もう飽きてきた頃だったしね」



130417/fin.
→あとがき
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