見果てぬ夢
ミカゲ氏は先日と同じ変態的な目で私の脳内に直接語りかけてきた。口があるんなら有効活用して欲しい。お前は何のために口があると思っているんだ。テレパシーって何だかぞわぞわする。
『貴女がこちらに来てくれれば、我々としても“被検体”が増えて嬉しいのですが、本当に宜しいのですか』
「……今日はやけに優しいのね。というかさっさと連れて行って頂戴? 早くしないと、私の気が変わっちゃうかもね」
そう私が言うと、傍で戦っていたイズモさんとやらは私のアクエリオンを鹵獲した。私も無抵抗だったのですんなり網にかかったが、回線から聞こえる皆の私を呼び止める声が煩いのなんのって。嬉しいけど。
「紫苑、行っては駄目よ! 何をされるか…ッ!」
「そうだ鈴祓、お前が行く必要は無いんだ!」
ううん、でも皆の言うことは私のしたいこととは正反対なのでどうも素直に頷きたくは無い。そもそもこの世界に来たいと思って来たわけでもないので、私はこの世界で一生を遂げたいわけではないのだ。どうせ死ぬんなら元の世界で死にたいね。
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