運命に敬礼を
不意にアンディは私の方を振り向いた。食後のおやつ、プリンを食べていた私は最後の一欠けを食べて、プラスチックをダストシュートに放り込む。


「それにしても、俺あのとき死んでるかと思ったぜ」
「誰が?」
「バッカ、お前に決まってるだろ! あんだけ血ィダラダラ流してんのに屁でもなさそうな顔しやがって」
「……そう? 本当に痛くも痒くも無いから神経おかしくなったのかと思ったよ」



コックピットを真っ赤に染めたにもかかわらず、私は異常なほどにぴんぴんしていた。医者も「ありえない」と頭を抱えているが、私も謎だ。スオミ先生なんかは異常に心配して私をこの街中のいたる病院に連れまわしたが、結局は謎のままだった。



「ほんと、へんなの」



思わず口に出したけれど、よくよく考えてみるとそれは今更かもしれないと思った。なんかもう、元の世界に帰りたいです、神様。
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