ピアニッシモ・マーチ
「ユノハっ!」
ジン君はいとも大事そうにユノハを抱き締めた。
羨ましいぜこの野郎!焦って私が駆け寄ると、ジン君も青ざめて彼女の首筋に手を当てた。彼がほっと息を吐くのを感じる。
「大丈夫だ。気絶しているだけで、命に別状は無い」
「あったらぶっ飛ばしてるわよ君……で、ほら」
受け止めるように手を広げると、ジン君は不可解そうに眉をしかめた。
「いや、いつまでユノハ抱き締めてるつもりなの」
通報するぞ。
それを聞いて、ジン君は瞬時に顔を赤くすると慌ててユノハを私に渡した。初々しいのう。
私にもこんな可愛げがあったらもう少しモテているのだろうか。
[ 《 top 》 ]