柳生は、さわりを教えただけなのにすぐ解ける様になってしまった。これが一を聞いて十を知るってやつか…

仁王はどうやら家では勉強が捗らないらしいので、放っておいても勝手に問題を解いていた。しかし丸井は捗る捗らない以前に問題を理解していない。夏休み明けにはテストがあるのに随分と悠長なことだ。あと一週間程しかないというのに!



「…まあ、答え写したのは正解だったな。白紙だったらぶん殴ってたよ」



答えを写すことにも意味があるって誰かが言ってたし。うん、俺はしないけど。

柳生も呆れたように読書の手を止めていた。別に帰ってもいいとは言ったが、彼は終わるまで付き合いますよ、と嫌な顔せず言ってくれた。柳生は本物の紳士だ。



「ブンちゃん、幸村に迷惑掛けるんじゃなかよ」

「わっかんないもんは解んないんだよぃ!」
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