「今日の焼肉は先生の奢りでした拍手ッ!」



錦先輩がそう鼓舞すると、先生は萎縮したようにぺこぺこと頭を下げ、俺達の士気は一層高まった。まあ全国終わったんだけどね。美味しかったですご馳走様でした。

無事に解散して、真田と蓮二と一緒に帰る道すがら。あれだけ一杯食べると腹一杯にもなるとそろそろ眠い目を擦り欠伸をすると、蓮二は思い出したようにそういえば、と口にした。



「今日の試合では、この間より五感を奪うまでの時間が少々延びたな。およそ時間にして十五分程度か」

「ええ? あれって相手が強かったんじゃないの?」



やけにいつもより試合が延びると思ったら、そういうことだったのか。意識すればできるんじゃないか自分。でも奪う云々を自力で制御するまでにはまだまだ時間が掛かりそうだ。面倒臭いなと思ったのは気のせいではあるまい。



「まあ、よくやったな幸村」

「(なんで撫でるんだ…)」



身長が低いから撫でやすいのだろうか。わしゃわしゃと頭を撫でる真田は珍しく笑っていた。
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