4−0が終わった頃、コートの向こうの彼は崩れ落ちた。かなり持った方だったから今回は奪わずに終えられるかと思ったのだが、またか。相手のチームメイトがコートに入って彼を立たせ、序でに俺のことを睨むのも忘れない。……まるで、俺が悪役じゃないか。 「…ごめんね。わざとじゃ無いんだけど」 「っ!」 何故か、そう言うと相手は目に映る恐怖の色を濃くした。別に皮肉を込めたつもりも無く、ただ謝りたかっただけなのに。俺のキャラが履き違えられているような気がする。 俺の方が泣きたい。ただ普通にテニスしただけなのにこんなにも怖がられるなんて、神は俺のことを何だと思っているのだろうか。 |