「おや幸村君、君が遅刻とは珍しいですね」

「ん、まあ色々あって」



紹介しよう。この生真面目優等生+眼鏡といういかにもな人が柳生君だ。委員会の仕事で毎朝毎朝遅刻者をチェックしている。ちなみに入学式に偶然会った(一話参照)のが彼である。その後、同じクラスの、しかも偶然にも前後だったので仲良くなったのだ。

彼はおやまあと言いつつもちゃっかり記録を取っていた。



「柳生も、そろそろ戻っていいよ」
「ああ、そうですね。今日もありがとうございました、先輩。……それでは行きましょうか、幸村君」



ちなみに、蛇足だがこの間のテストは柳生君が一位、五点差で俺が二位だった。まあ俺はあんまり勉強していなかったので(中一の五月定期なんて正直屁でもない)当然といえるだろう。担任が誇らしげにしていたのは記憶に新しい。
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