下校中、俺はふと真田に尋ねた。



「ねえ真田」

「何だ?」

「君、柳君って知ってた?」



真田は一瞬思考が止まったように見えたが、直ぐにああ、と呟く。

何だ。知らないのは俺だけだったのか?



「一応、噂には聞いていたな。名前を聞いてまさかとは思ったが、本当なのか」

「らしいよ。錦先輩に聞いた話だし、恐らく本当だろうね」



言いながら石を蹴った。俺はダブルスは好きではないのだ。やっても大体、パートナーを置き去りにしてシングルス状態になってしまう。



「そういえば――」



錦先輩が、俺達をレギュラーにしたいと言った事を、真田に言うべきだろうか。

一瞬ためらった俺を、真田は促す。渋々俺は話した。



「……錦先輩が、俺と君と柳君でシングルス全部埋めようかって笑っててさ。でもさー」



先輩達にも、立場があるだろうし。

流石に「反感を買うのが面倒」とは言わなかったが、これでも俺は真剣だ。ふむ、と真田は少し思案して、口を開いた。
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