出るからには、試合をするからには勝つのが俺の掟だ。

とかなんとか格好を付けて言ってみても、ただ俺が圧倒して勝ったというだけで。特に何も感慨深いということは無かった。準決勝の人は、俺が相手だと知るや否や諦めたような表情をした。

俺が何をしたというんだ。






暇なので、俺は決勝前の休憩を使って真田が試合をしていたコートを見に来た。直ぐに終わってしまった俺の試合とは違って善戦をしたらしく、スコアは6−4。丁度終わったところのようで、真田が汗を拭きながらコートから出てくるところを突撃した。



「真田ぁ、ちゃんと勝ってきただろうね?」



俺が脅すように言うと、真田は一歩引きつつも頷いた。ついでに面白い奴はいたか、と問うたが特には居なかったと即座に返されてしまった。



「ジュニア大会とか言っても、所詮子供のお遊びってこと? あー笑えない」

「……」

「全く君ぐらいだよ、俺に突っかかるの。準決勝の奴はびびって諦めたし、ツイてないな」

「それは、褒められているのか?」

「褒めてるというか、認めているのかな」



真田はその言葉に首を傾げたものの、決勝の時間が近づいていることに気付いて俺の手を取った。



「行くぞ、幸村!」
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