ようやく、八月半ばから始まる全国大会の組み合わせ表が発表された。これによると、どうやら白石の四天宝寺中と当たるのは準決勝のようだ。まあ、どちらかが負ける可能性も無きにしもあらずだが、おそらくそんなことは無いだろう。俺の強さは皆が知っているし、彼もきっと負けない。どうせならば決勝で当たりたかったけれどね。



「…それで、本当に君達が二回戦のD2でいいの? 確かにダブルスの枠は余ってるけど、勝てるんだろうね」

「もっちろんだろィ! 俺達、去年からダブルス組んでたんだぜ。幸村君も見てただろ、この間の試合!」

「ずっと話してたんだ、二年のうちに公式の大会に出て経験を積んでおきたいってな」



そう訴えるのは丸井とジャッカルだ。部長は確かに三年の先輩なのだが、何故か「全国大会のオーダーを組んでくれないか」と依頼、というかむしろ丸投げされたのだ。これは信頼されているのか、それとも俺達を恐れているのかは神のみぞ知る話だが案外これが面倒臭い。

自信満々に言う丸井に頷くジャッカル。確かに、比較的技術重視の丸井と云わば体力馬鹿のジャッカルならば丁度良いコンビだろう。でも去年から組んでたとは知らなかったなぁ。俺はダブルス出来ないし羨ましいや。



「うーん、でもいつもの柿ノ木中との練習試合じゃないか。出るなとは言わないけど…」

「試合で勝てたら文句は無いんだよな、幸村君。完封勝利、やってやるぜィ!」



そんなことはおくびにも出さず困ったように笑ってみせると、丸井は簡単に釣れた。ま、俺も居ることだし負けてもいいんだけど、ね。
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