それから、俺達の快進撃は続いた。妖怪立海の方々も俺達の戦歴にはびっくり仰天(比喩)していて、正直ここまでとは思っていなかった、という妖怪柳のお言葉も頂いたりした。大丈夫、俺達も驚いてる。

「まさか、こんなに出来るとはなあ。……ま、ほとんど白石のお陰やねんけど」
「なぁに言うてんの謙也くん。後ろで謙也くんがサポートしてくれるから、俺も安心して前だけ見れるってもんやで」

与えられた家の居間のコタツにて、他愛も無い話の流れからそんな会話へいきついた。まあ勝ったからと言って俺達に利益があるか、と言われればそうでもなく、これは無償の奉仕活動のようなものだ(実際には衣食住が提供されているので無償ではないのだが)。

「そ、そうか……」と挙動不審になった謙也くんに少々首を傾げつつも蜜柑の皮を剥く。甘いよりすっぱすぎる方が好みだ。程よい加減の蜜柑に気分をよくしていると、突然玄関からドンドン戸を叩く音が響いた。

「うん? ……ちょっと見てくる」
「おー」

手の中にあるまだ食べていなかった蜜柑を丸呑みして立ち上がった。忙しなさ加減から云えば赤也君だろうか。鍵はかけてないから入ってくればいいのに、と思いつつも玄関の戸を開いて、

「――なっ!?」

一陣の風が吹いた。

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