最近よく食堂でハンジに声を掛けられる。噂に聞けばハンジは変人で名を馳せているらしい。確かに壁外調査の日が近付くにつれて御通夜状態になる調査兵団の食堂では彼の声はよく響き、その変人具合も歴然として分かるというわけだ。

次の壁外調査の内容はただ、壁の付近の巨人を掃討することなんだよね。そう同意を求められたが詳しいことは何も知らなかったので答えられない。まあ、どうやら今の世の中では調査兵団はあまり必要とされていないようなのでそんなものだろうか。

取り合えずへえと返事をすると、目の前でスープを一口飲もうとしていたハンジは奇妙そうに首を傾げた。

「君、あの後エルヴィンに聞きに行ったんじゃなかったのかい?」
「……文字を読むのは苦手なんだよ」
「へー。確かに体育会系って感じだもんね」

あっぶねえええ。変に勘ぐられたら終わってたと思いつつスープを飲み干すが、胡椒を入れすぎていたのか非常に辛い。黙って堪えていると、何も言われなかったが微かに笑われているような気がしたので机の下で奴の足を踏む。ぐぇと蛙を潰したときの声がした。
 back ×
- ナノ -