起き上がろうとすると身体の節々が軋む音がした(無論実際に鳴ったわけではないことは分かって頂けるとは思うが)。服やなにやらは全て下ろしたてのものを着せられている。その服の下に脇腹から胸元にかけて包帯が巻いてあるのを確認すると、その包帯を解かないようにそうっと傷口と思われる、ずきずきと痛む部位を撫でた。普通に痛い。

「……! 何してるんですか兵長!」
「貴方は、寝てなきゃ駄目」
「な、何で」

そういえばここに至るまでの経緯が思い出せない。どうして俺は自分の部屋で包帯巻かれて寝ているんだ。ドアを開けるなり血相を抱えたエレンとミカサは起き上がろうとした俺を再びベッドの中へ押し込んだ。

しかし何故と問うと、先程の勢いは何処へ行ったのやらみるみる間に萎む。俺の知らない何かを思い出したようだ。

「俺が一体何をしたんだ?」

もう一度、今度は彼らと目を合わせて聞く。俺は、いつもは従順な二人が珍しく一回の質問で口を割らないのでそのとき若干苛立っていた。早く、そう促すと二人は怯えたようにびくりと震える。そしてエレンが恐る恐る口を開いた。

「兵長が、俺達を庇ったんじゃないですか」
「……はあ?」
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