う (1/3)
白石に避けられている。

明らかにこれは俺を回避している行動だ。真田も白石なら朝早くから走りに行ったと証言しているし何か考え込んでいたようだぞとも言っていた。しかも朝食のとき俺が近くに座ろうとするとわざとらしく忍足(四天宝寺の方)に駆け寄ったりしている。忍足許すまじ。

「…避けられている? 白石に?」

休憩のとき、蓮二にそれを言うと、同じ部屋だろう、と蓮二は呆れたように言った。それはそうなんだけど、話しかけようとすると上手いこと逃げられてしまう。何故避ける必要があるのか、なーんてね。彼女だって分かっただけでも万々歳なんだけどさ。

「それにしても珍しいな」
「……何が」

俺の顔を見て蓮二が面白そうに笑うので問い返すと、彼はいやすまない、と笑いを一度収めて俺の顔を見た。嫌な予感がして一歩下がるが彼は俺の顔を見て言う。

「精市が興味を示すなんて、明日は雪でも降るんじゃないのか?」
「うっさい!」