「なあ、これ白石やないか!」

「へ? 何?」



久しぶりの休日。謙也くんと家でのんびりしていると、テニス雑誌を呼んでいた謙也くんは突然叫んだ。俺は驚いてそれを見ると、俺の写真と共にプレイスタイルべた褒めの記事が載っていた。波動球で負けたのに待遇がいいな。



「恥っず……」

「ええなぁ、バイブルやってバイブル!」



読んでいるうちに羞恥心に駆られて、俺はベッドに顔を埋めた。しかし謙也くんはそれに気が付いているのかいないのか、嬉しそうに読んでいる。

そういや、原作でもこの頃に聖書と呼ばれるようになったんだっけ。これは順調にレールの上を歩いているということでいいのだろうか。

謙也くんは尚も羨ましそうに言った。



「俺も欲しいなぁ、二つ名」



二つ名っていうと急に厨二臭くなるのは気のせいだろうか。



「浪速のスピードスター(笑)」

「お、それええ感じやな!」



俺の語尾に付いた本心に気が付かずに、謙也くんはきらっきらした顔で嬉しそうに笑った。

なんだか悪いことをした気分である。



ひかり輝く君ならスター
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