「えー、我が校の方針である“笑わせたもん勝ち”の精神に則って――」



入学式とはなんとも面倒なことだ。これはこの学校全ての行事にも言えるのだが、中でも俺が一番面倒臭いのは校長の挨拶である。皆よく笑えるよなぁ。俺は愛想笑いが精一杯だ。

とか考えていると、校長の渾身のボケ(ホージホージのあれだ)に皆仲良くコケた。俺はタイミングを見失って突っ立っている。しまった、一人だけ浮いたか。これは後で指導室行きかもしれない。

少々慌て見渡すとると、どうやらもう一人コケなかった奴がいた。中央の方にいたのでどうやら新入生らしいが、なんと真顔で校長の顔を直視していた。



「うっわ……」



笑わないとは希少価値だ。是非仲良くなりたい。

なんて、あの子が誰だか分かってるけど。
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